ラダックの見所紹介 上ラダック編

ラダックのゴンパ紹介 上ラダック編

上ラダックの風景

上ラダックの風景

ラダックの中心地レーを南東方面から流れてくるインダス川に沿いに遡った流域を「上ラダック(Upper Ladakh)」と呼びます。小高い丘の上に建つお寺から見下ろすと、インダス川の流域のみに緑と畑が広がり、それ以外は荒涼とした土と岩の世界、その更に背後にはヒマラヤ山脈から連なる雪山が聳えていることがよくわかります。ラダックでは、耕作可能な面積が非常に限定的であるため人口も制限される、という地政学的な背景がよく理解できるでしょう。

この「上ラダック」には、ポタラ宮を彷彿させる雄姿を誇るティクセ・ゴンパ、ラダック王家の菩提寺として有名なヘミス・ゴンパなど大規模で有名なお寺から、ラダック唯一のサキャ派寺院のマト・ゴンパ、瞑想窟がもとになったニンマ派寺院のタクトク・ゴンパなど多彩な僧院が点在し、僧院の勇壮な姿とお寺の門前街的な村々ではのどかな農村風景が同時に楽しめます。
そんな「上ラダック」の見所である主なゴンパ(僧院)をご紹介しましょう。

最初の王都シェイ

シェイゴンパの大仏(釈迦像)

シェイゴンパの大仏(釈迦像)

レーの南東15km。シェイは10世紀半ば、ラダック最初の統一王朝であるラチェン王朝が王都を定めた地です。
その後、16世紀に王都がレーに移されてからも王家ゆかりの地として重要視されシェイの岩山の中腹に王宮シェイ・カルが建てられました。王宮内にはシェイ・ゴンパが内設されお釈迦様の仏像や、美しい獅子吼観音の壁画などが残されています。
また岩山の麓には詳しい由来は不明ですが、7-10世紀ごろに作られたとされる五智如来(ギャワリンガ)の摩崖仏が残されています。

「まるでポタラ宮」ティクセ・ゴンパ

ティクセゴンパ

ティクセゴンパ

レーの南東19kmにある、ラダックを代表するチベット仏教ゲルク派の大僧院です。
15世紀中頃、チベット仏教ゲルク派の開祖ツォンカパの予言に従いこの地に建立され、ラサのポタラ宮に似た勇壮な外観を誇ります。僧侶が100人以上いる大僧院で1980年に造営された巨大な弥勒菩薩(チャンバ)像が有名で、インド政府観光局のポスターにもなりました。

「凛々しい姿がカッコいい」スタクナ・ゴンパ

インダス川の向こうに建つスタクナゴンパ

インダス川の向こうに建つスタクナゴンパ

レーからは約25㎞。ティクセ・ゴンパからはインダス川の対岸の岩山の上に建つ、ブータン系のドゥクパ・カギュ派の僧院です。17世紀にラダック王ジャムヤン・ナムギャルがブータンから高僧を招きその居寺として建設されました。(※ラダックにはブータン系のドゥクパ・カギュ派とラダック系のドゥクパ・カギュ派の2つの系統があります)
メジャーなお寺ではないので観光で訪れることはあまりありませんが、インダス川越しの凛々しい姿が美しいお寺なので、写真撮影を希望する方は是非ガイドまで一言お伝えください。

ラダックでは珍しいサキャ派のお寺 マト・ゴンパ

レーからら約20km、ラダックで唯一のサキャ派の僧院です。15世紀にチベットからラダックを訪れたサキャ派の高僧ドルジェ・パルザンに対しラダック王ラチェン・ダク・ブムデがこの地を寄進したのが始まりです。ドルジェ・パルザンはラダックに来る前にカム地方の聖山・梅里雪山(カワカルポ)を巡礼したのですが、その際に二人の兄弟神、ロンツェン・カルポ(カルポは「白」の意味)とロンツェン・マルポ(マルポは「赤」の意味)の兄弟神を連れて来てこの地の土地神様になったと言われています。シャーマンによる神降ろしの伝統が残されいて冬の祭「マト・ナグラン」では大活躍します。

「ラダック王家の菩提寺」ヘミス・ゴンパ

ヘミス・ゴンパ

ヘミス・ゴンパの本堂

レーの南東45km。ラダック系のドゥクパ・カギュ派で、ラダック地方では最大の僧院です。1627年、ラダック王国のセンゲ・ナムギャル王の寄進により国師タクツァン・レーパの居寺として建立され、王家の菩提寺として繁栄しました。新旧二つの大きな勤行堂があり、博物館は収蔵品が充実しています。
仮面舞踏の祭へミス・ツェチュはラダック最大の祭として有名だが、観光客も多くやや観光化されています。

是非とも足を延ばしたい チュムレ・ゴンパ

チュムレ・ゴンパ

美しい夏のチュムレ・ゴンパ(写真提供:勝俣靖雄様)

1644年、ラダック王センゲ・ナムギャルを弔うために、国師タクツァン・レーパが建立した寺です。背後の禿山をバックにして、丘の上に白一色で統一された寺院と僧房が混在していてバランスのよい配置が美しいです。新しい講堂には、明るい彩色の壁画が描かれているが、祖師堂には、古色蒼然とした壁画と祖師たちの像が並んでいます。

珍しいニンマ派のお寺 タクトク・ゴンパ

タクトクゴンパ

岩山にへばりつくようなタクトク・ゴンパ

レーから東へ50km、8世紀にグル・リンポチェが修行したという洞窟の上に、チベットの高僧が1750年代建立した洞窟をそのままお堂にした珍しいお寺です。ラダックでは珍しいニンマ派のお寺。田園風景が美しいシャクティ村が目の前に広がる。ニンマ派らしく毎年夏にはグル・リンポチェを称える「ツェチュ祭」が開かれます。