※掲載している情報は2015年当時のものです

2015/4/25のネパール大地震以降、風の旅行社およびネパール支店(NEPAL KAZE TRAVEL)のスタッフが、実際に現地入りし目と足で確かめた最新の情報をお届けしていきます。

4/25地震発生 そして5/12の大規模余震

2015年4月25日11時56分、カトマンズの北西約77kmのゴルカ郡を震源としたM7.6[*1]の大地震が発生した。1934年のM8.1に次ぐ81年振りの規模であるという。世界遺産カトマンズ盆地の歴史的建造物や古いレンガ造りの家屋も大きな被害を受けてしまった。


震災発生時のカトマンズ市内の様子

このニュースは瞬く間に世界に発信されたが、弊社では、ゴールデンウィークのツアー中止判断がなかなか出来なかった。大きな理由は、震災直後は被害状況が不確かだったこと、またネパール滞在中のお客様や現地スタッフの安全確認が直ぐにできたことにあった。

しかしながら、震災翌日には、犠牲になった方は3,000名を超え、その後、約8,800名にまで上った。私達スタッフやお客様にも愛されていたトレッキングエリアのランタン谷でも甚大な被害がでるなど、状況が明らかになるに従い、現地のインフラや人々の心情を考えると、とてもツアーを実施できるものではないとして、4月26日からのツアーを当面中止することになった。出発当日までスタンバイしていただいたお客様には、初動の判断が甘かったと恥ずかしい限りであった。

ネパールから戻られるお客様も、安全のためホテルの部屋ではなく庭のテントや車で一夜を明かしたり、航空便の乱れや空港混雑で大変な苦労を伴うご帰国となった。そんな中、お客様をはじめ関係各社・団体の皆さまより、お見舞いのメッセージと共に震災支援のご相談を多くいただき、4月28日に「ネパール震災支援金専用口座」を開設[*2]。同時に、風の旅行社ネパール支店(以下NKT)でも、スタッフ達自らの意思で米や塩や豆などの食料を買出して、被災地へ緊急支援を開始した。

そして、NKT代表のプリスビーをはじめ現地スタッフから、お見舞いや支援に対する感謝と被災・復興状況のメールが届くようになった。

まだテント、水、薬や食べ物が足りていないところも沢山あるようです。私たちも、困っている地域への援助をできるだけしていきたいと思っています。1日でも早く落ちついてふつうの生活に戻る事を願っています。復興には旅行に来てもらうことも大事なので、落ち着いたら、またツーリズムが活発になることを願っています。しばらくは、色々な面で大変ですが、皆で力を合わせて頑張って行きたいと思います。5/1 プリスビー

カトマンズ盆地のいくつかの世界遺産は、元通りになるのには時間がかかると思いますが、ネパール全体が被害にあったのではありません。チトワン、ポカラ、ルンビニ等は、問題ありません。現状を含めて見に来てください。みんなが力を合わせて頑張っている姿を見に来てください。皆さんとネパールでお会い出来る事を楽しみにしています。5/12 ホム

震災から3週間程が経ち余震も少なくなり、明るく前を向いて歩き始めていた5月12日。カトマンズから北東約70kmシンドゥパルチョーク郡とドラカ郡の境付近でM6.8[*3]の大きな余震が発生した。これにより、エベレスト街道や中尼公路の中国(チベット)との国境コダリ付近などで、犠牲者を伴う被害がでてしまった。

本震後は近隣住民の避難場所にもなっていたカトマンズのホテル「風ダルバール・カマルポカリ」もまた、この余震で一部修復が必要なダメージを負ってしまった。震災から立ち上がりかけていたネパールの人々にとっても、大変なショックであった。それでも、地域の人々の助け合いや各国の援助、そして徐々に余震が無くなり、再び復興の道を歩み始め今日に至る。

復興支援活動と現地視察

復興支援活動と現地視察ネパールは風の旅行社発祥の地。NKTと25年間にわたり「出会いと感動を大切に心温まる手作りの旅」を目指し共に歩んできた。復興支援や視察、そしてスタッフ達を励ますために「早くネパールを訪れよう」という思いは、自然と直ぐに生まれた。

まず、5月4日から代表・原が緊急支援物資を持ってカトマンズの各地の被災状況の視察と、今後継続的にどのような支援を行っていくかを確かめるために現地入り。報道で映し出される胸の痛むような被災地風景は、決してカトマンズやネパール全体では無く、ごく一部であることを確認できた。


カトマンズ市内の状況を視察する原

報道とは、かくも事実と違ったイメージを振りまき危機感を煽る。もちろん、大きな被害が出たことは確かだ。しかし、多くの人々は、これからも生きていかなくてはならない。そのために、報道がどういう役割を果たすのか。そんな視点で内容を精査して欲しいものだ。5/14 原

そして、多くの方々よりご協力いただいている震災支援金の使用用途については、次の3つを基本柱とすることになった。

    1. 緊急支援
      NKTスタッフと関わりがあり、直接手渡しできる被災地に、食料品や作業用具を支援する
    2. 震源近くのパトレ村復興支援
      以前より農村ステイツアーを組んできたパトレ村は、97棟全家屋が全半壊するも奇跡的に人的被害は無かった。この村の再建に向けた復興支援を行う
    3. 被災した子供達の就学支援
      国際NGOと協力したり基金を立ち上げて、被災した子供達が高校まで卒業できるよう金銭的な支援を行う

次に、5月28日から(株)風カルチャークラブ・竹嶋が緊急支援物資を持って、復興支援ボランティアの可能性を探りに現地へ。前述の緊急支援のためにカトマンズ盆地のサクーやコカナ、ブンガマティ、バクタプルなどを訪れた後、震源にも近かったパトレ村へ。


パトレ村の学校で村人とミーティング中

村の復興支援のためにリーダー達と打合せを行い、ボランティアスタッフやツーリストを受け入れるための家屋型のテントを購入するなどした。また、就学支援のためにカトマンズ郊外・ティミにある国際NGOへの協力を固めることができた。

資料:主な支援内容(2015/8/25時点)

竹嶋は帰国後、早々にカトマンズ近郊とパトレ村への復興支援ボランティアツアーを発表した。

パトレ村のリーダーに今後の村の未来計画を質問してみると、彼は紙1枚に村の未来の姿を何の迷いもなく力強く描き始めた。店、交番、事務所、ホームステイ受入れの家屋、ハイキングコースなど、これからの村の姿が彼にはもうすでに見えているのである。
真っ白な紙にまず初めにペンで書き込んだのが「School」という文字だったのがとても印象的であった。「子どもたちの教育の場を奪ってはいけない」そんな彼の意思が、未来の村の姿を語る端々で垣間見えた。6/4 竹嶋

その後、ネパールの観光資源であるヒマラヤのトレッキングルート視察のため、スタッフのネパール行きは続く。

6月5日から(株)風の旅行社名古屋の古谷が、支援物資を抱え現地入り。報道にほとんどあがってこなかったポカラやアンナプルナ山群の視察をNKTのテクと行った。震災から1ヶ月以上が経ち、被害の少ないエリアは、震災前と何も変わらない普通の風景であった。ただ1つ、ツーリストがいないことを除いて。


土砂崩れで通行止めになったカリガンダキ沿いの道

実は本震の震源であるゴルカ郡を境に、西側での震災被害は地盤の関係から極小であるという。ポカラからアンナプルナ南麓の「つきのいえ」や「はなのいえ」を訪れた後、アンナプルナ北側のムクティナートやジョムソン街道を辿り、途中出会った韓国からの視察隊とも情報交換をし、アンナプルナ山群全域がほぼ問題ないことを確認できた。

資料:ネパール地図

しかしジョムソン街道南部で地震による大きな崩落があり、車両通行ができない状況にあった。現在も土砂のかき出し作業と迂回路整備が進められている。これにより、ジョムソンやムスタン方面へのツアーは、そのトレッキングルート自体にダメージは無いものの、国内線欠航時の陸路エスケープが困難なため休止している。

ルート視察後、古谷はカトマンズ郊外の被災地コカナ村を訪ね、子供達約180人分の衛生キットと2か月分の給食支援費用、支援物資トタン提供の目録を届けた。

多少なりとも被災地を辿りながらのトレッキングになるだろうと思っていたが、アンナプルナ地域は殆ど被害を受けていなかった。そして観光客がいない閑散とした山域になっていた。震災以降は外国人が激減したため、国内線の運航本数もかなり減便されている。ポカラ空港で搭乗手続き中、私が旅行会社の人間だと知ると、イエティ・エアラインの係員が私にこう伝えた。「我々も辛抱強く観光客を待っているから、あなたも観光客を送るよう頑張ってくれ」。是非、ネパールへ行ってあげてください。ネパール人は気丈に頑張っております。大丈夫なところは本当に、大丈夫です。6/18 古谷

続いて6月14日より東京本社の川上が、エベレスト街道へ。カトマンズから3泊4日でエベレスト街道第二の展望地タンボチェまでを、NKTのディルと視察。

ルクラからナムチェバザールまでは、ドゥドゥコシ沿いのいくつかの集落を巡るが、パクディン辺りではロッジや家屋が一部倒壊する被害もあり、ルート上に崩落箇所もあった。ナムチェバザールもチョルテン(仏塔)にひびが入り、石積みの伝統的な家屋に被害が出ていた。しかし、テント生活を余儀なくされている人は10名程度であり、思っていたよりも被害が少ないことにホッとしたという。

その後、エベレスト街道最初の展望地シャンボチェとシェルパ族の集落・クンデ村とクムジュン村を経由しタンボチェへ。シャンボチェのエベレスト展望ロッジは窓や外壁にひびが入る被害があったものの、修復は進んでおり秋以降のシーズンまでには再開できるという。


余震によって崩れたタンボチェゴンパの外壁

クムジュン村の僧院やヒラリースクールは無事だったが、クンデ村とクムジュン村は本震と5/12の余震で全壊してしまった家屋が多く、約200名の作業員が瓦礫の撤去や家屋修復に携わっていた。川上とディルは70リットルのザックに詰めこんできた丈夫な作業用グローブ200セットを人々に手渡した。

そしてタンボチェであるが、ここにはシェルパ族の心の拠所ともいえるチベット仏教僧院タンボチェゴンパがある。このゴンパもまた僧房の倒壊や集会堂にひびが入るなど被害があり、約35名の僧侶がテント生活を余儀なくされていた。シェルパ達の話から、カラパタールやゴーキョピークなどのロングルートも、一部修復が必要なロッジもあるが、いつでもトレッカーを迎え入れる準備はあると聞くことができた。

震災から2ヶ月。既にポーターがトタンやセメントなどの資材を続々と運搬してきており、大勢の大工達が振るう槌の音が街中に響いている。ジャガイモの収穫期前である8月中の復興を目指し、ナムチェの集落はいつもより活気づいてさえ見えた。
私自身、出発前には登山道への影響を危惧しており、ヘルメットやロープを持っていくべきか悩んだりもしたのだが、実際に歩いてみると、そんな心配は杞憂だったと断言できる。ここは「秘境」ではなく人々が行き交う「街道」であり、「人」が歩けば「道」はできる。古より続くシェルパ達の生活やバザールの賑わいがある限り、ここは永続的に魅力的な旅先であり続けることだろう。先入観や風評被害で敬遠せず、今後もこの美しい街道を歩くトレッカーが増えることを切に願う。7/1 川上

震災から3ヶ月、そしてこれから

7月15日に、被災地で特に求められていた作業用グローブとソーラーライトを持って、東京本社の竹原が現地入り。震災直後の報道にあった胸の痛むようなカトマンズの姿は、ほとんど目にすることはない。建て直すべき建物は撤去が進み、原や竹嶋が訪れた時にはあちこちに散乱していた瓦礫も片付き、少しずつツーリストも戻ってきていることがわかった。

続いて7月25日、8月からいよいよお客様がネパール入りする『カトマンズ復興支援ボランティアツアー』の直前打ち合わせと、今後のネパールツアーについてスタッフミーティングを行うため、私、荻原が現地入り。

カトマンズ盆地の主要観光地も巡ったが、歴史的建造物等は修復にとりかかっていて、悲しみや暗さよりも前を向いて力強く復興の道を歩んでいる様子が窺えた。また、皆さまのご協力により支援を続けてきたこととNKTスタッフの頑張りで、ボランティア作業を行う予定の被災地との関係性は、とても友好で清廉であることもわかった。


支援物資を手にやる気満々のスタッフたち

そして、NKTのスタッフやずっと風のネパールを支えてくれたフリーランスガイド達も、震災以降多くの方のご支援の下取り組んできた一連の活動に誇りを持ってくれて、震災を乗り越え再びネパールのツーリズムが活発になることを心待ちにしていた。

皆さまご心配いただきありがとうございました。日本でちょっとズルいニュースを見るより、リアルな新しいネパールを見に来て下さい。ソマシャ・ツァイナ(問題ないよ)!7/29 ディル

大変な地震がおきてしまって、神も仏もいないのかと思ったけど、カトマンズの空港が無事だったからこそ、海外から直ぐに支援が入るしツーリストも来てくれる。やっぱり神々の国ネパールです。7/29 スルヤ

震災、嫌なことだけでは無かったです。たくさんのお客様が心配してくれて、日本のスタッフ達も来てくれる。それから、近所の人たちと一緒に協力して片付けたり、食事を用意したり仲間になれた。7/29 ラジェシュ

地震のあと新しいネパールを見に来て下さい。震災の辛い写真や画像をたくさん見たと思いますけど、そんなことは無いです。私達がいるので安心して下さい。7/29 ドゥルガ

だから、それに応えていきたい。
8月の『カトマンズ復興支援ボランティアツアー』で震災後のネパールに初めてお客様が訪れてくれた。ただただ感謝である。


スワヤンブナートの瓦礫撤去作業にあたるお客様

NKTのプリスビーは、長期的な支援を継続し活動に広がりをもたせるためには、旅行の仕事とは一線を引き、NGOをつくる必要があると考えた。そして、8月4日にネパール政府公認のNGO「Maitri Foundation Nepal」(Maitriはフレンドシップや友人の意味)が設立された。

道のりは長くまだ始まったばかりだが、ネパールの復興は確実に進んでいる。多くの方々からのご支援と想いを、今後も継続してネパールに届けていきたい。

荻原 文彦(東京本社)


[*1][*3]ネパール国立地震センターによる数値

[*2] 支援金総額は8,281,884円


2015 ネパール大地震 風の旅行社・ネパール支店からの情報発信一覧

風の旅行社および風のネパール支店(NEPAL KAZE TRAVEL)より発信した情報一覧です。



地震から4ヶ月がたち、人々の生活は大分落ちついて来ました。ほとんどの人たちがそれなりの仮設住宅で日々を過ごせるようになってきました。おそらくみんなが以前のように自宅に戻って生活するには、まだ5、6年くらいはかかる事でしょう。
沢山のお客様から暖かいメッセージが届いて、とても嬉しく、ありがたく、力になりました。また、集まった支援金や物資も、必要とされている所に届ける事が出来て、多くの人の助けになったと思います。本当にありがとうございました。
おかげさまで、ボランティアツアーも始まりました。これからは、ネパールの復興に向けて、私たちが旅行業で出来る事をどんどん頑張って行きたいと思っています。観光やトレッキングなど問題なく行けるところも沢山あります。秋に向けて大勢のお客さまを迎える事が出来ればと願っております。スタッフ一同お待ちしております。2015年8月 NEPAL KAZE TRAVEL社長 プリスビー・シュレスタ