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【特集】見逃せない!チベットの夏祭り3選 大タンカとチベットオペラの祭典

 

チベット旅行のベストシーズンのひとつである夏。その最大の魅力はなんと言っても人々の敬虔な信仰のパワーを目の当たりにする夏のお祭でしょう。村ごとに行われる競馬祭や収穫祭のような小さなものから、数万人規模の人々が集る大規模なものまで大小さまざまなお祭が開かれますが、ここでは、ラサ近郊の寺院で開かれる代表的な夏祭りをご紹介します。

その1 夏の高山植物も楽しめる ガンデン寺のセタン祭


ガンデンセタンのタンカ ガンデン寺の大集会堂に掲げられた巨大な仏画


ダライ・ラマ、パンチェン・ラマの2大活仏を擁するチベット仏教の最大宗派であるゲルク派。ラサの郊外を東に約50km、標高約4,200mの山(丘)の上に建つガンデン寺はラサの三大寺院の1つで、そのゲルク派の開祖ツォンカパが創建した総本山。解放軍進駐、文化大革命で壊滅的打撃を受けましたが、近年目覚しい復興を見せています。

ガンデン寺では毎年チベット暦(陰暦)の6月15日(例年7月下旬~8月上旬)にセタン(シウタン)祭というお祭りが行われます。
当日は早朝から長い九十九折りの坂道を車で上がり、多くの巡礼者達に混じって1年に1度だけガンデン寺の堂内に掲げられる貴重なシルクのタンカ(セタン)と、大集会堂の外壁に掲げられる巨大仏画を見に出掛けます。
緑に覆われた美しいたたずまいの中、今では破壊の面影はまったくわからないほど。チベット人の熱き宗教心を象徴するような光景が印象的です。

巡礼者からの喜捨を受ける僧侶 ピクニックをする巡礼者家族
巡礼者からの喜捨を受ける僧侶

ピクニックをする巡礼者家族

このガンデン寺の巡礼路はキチュ河を見下ろす絶景と、ブルーポピーをはじめとする高山植物が咲く、絶好のフラワーハイキングコース。毎年7月~8月にかけてが花の時期。チベットの観光と言えば「お寺ばかり」と言う印象があるかもしれませんが、このガンデン寺の1周1~2時間程度の巡礼路では、お弁当を広げて車座になる家族がいたり、小さなイベント(聖地)があったりと、「巡礼」と言う名のハイキングも楽しめるのです。しかも、中国人、外国人観光客の姿もほとんど見かけない、ローカル色の強いお祭です。(チベット・オペラ「アチェラモ」はありません)

大絶景の巡礼路 巡礼路の脇に咲いていたブルーポピー

丘の頂上部分を埋め尽くす僧坊 仏画の前に立つ小坊主たち


大絶景の巡礼路

巡礼路の脇に咲いていたブルーポピー

丘の頂上部分を埋め尽くす僧坊

仏画の前に立つ小坊主たち




その2 チベット仏教最大の祭典 ショトゥン祭


デプン寺の大仏画 デプン寺の大仏画

組紐 デプン寺のタンカ開帳

『ショトゥン祭(中国語では雪頓節)』は、チベット暦(陰暦)の6月30日(例年8月上旬~下旬)にラサの三大僧院に数えられるデプン寺とセラ寺(もうひとつは前述のガンデン寺)で幕が開きます。デプン寺では、100人近くもの僧侶により運ばれたタンカ(仏画)が掲げられ、見るだけで「悟りの種を得る」といわれるこの巨大なタンカを一目拝もうと、ラサのみならずチベット全土から巡礼者が押し寄せ、ラサの街が巡礼者で溢れます。
また、ノルブリンカでは各地から集まった楽団によるチベットオペラ(アチェ・ラモ)が繰り広げられ、その脇ではラサの人々がテントを張り、のんびりリンカ(ピクニック)を楽しむ様子が見られます。まさに、チベット文化の集大成とも呼ぶべき年に一度のイベントです。

お祭はデプン寺での巨大なタンカの開帳から始まります。まだ夜の明けないうちから集まった大勢の巡礼者と観光客の眼前に、僧侶たちが本堂から巨大タンカを抱えて登場し、どこからともなくチベタンホーン(トゥン)の音が響きます。あちらこちらでサン(お香)が濛々と炊かれ、薄明るくなった境内には「ピーン」と神聖な空気が流れます。斜面に設置されたタンカ台にタンカが僧侶達によってセットされ、徐々にカバーが外されていくと、その空気が一変し、巡礼者たちがタンカに向かって捧げる(投げる)「ルンタ」(祈りの護符)や、「カタ」(聖なるスカーフ)が飛び交い、あちらこちらでサンが炊かれ、五体投地が始まり、一気にお祭ムードが盛り上がります。同時に僧侶達の読経が始まり、あたりには物売りの声が響き渡り、やがて巡礼者たちはタンカやお寺の周囲をコルラ(右周りに巡礼すること)し始め、まるで「民族大移動」のようです。こうしてお祭は最高潮を迎えるのです。

本堂からタンカが登場 タンカを担ぐお坊さんたち

ご開帳を見守る人々 会場で売り出されるヨーグルト(ショ)

  

本堂からタンカが登場
本堂からタンカが登場

タンカを担ぐお坊さんたち
タンカを担ぐお坊さんたち 

ご開帳を見守る人々
ご開帳を見守る人々

組紐 修行明けのヨーグルト

チベット語の「ショ」はヨーグルト、「トゥン」は宴の意味。ショトゥンとは「ヨーグルト祭り」というのが本来の意味です。17世紀以前のショトゥン祭は宗教儀礼でした。僧侶達には戒律に従い夏の間の一定の期間、寺の境内に閉じこもるヤルネ(夏安居)という修業があり、このヤルネの解禁日を祝って村人達がヨーグルトを用意して僧侶達に施した、というのがショトゥン祭の起源といわれています。そのため、当日会場でもヨーグルトが売られていることがあります。

会場で売り出されるヨーグルト(ショ)
会場で売り出されるヨーグルト(ショ)

組紐 ノルブリンカで上演されるアチェ・ラモ

ショトゥン祭は当初、デプン寺で行っていたので「デプン・ショトゥン」とも呼ばれていました。しかし17世紀中葉、チベットを再統一したダライ・ラマ5世は、それまで寺院の中で行われてきたショトゥン祭をデプン寺からポタラ宮に移し、チベットオペラ(アチェ・ラモ)の上演を始めました。これ以降、チベット暦の6月30日にデプン寺で巨大なタンカがご開帳され、翌日にダライ・ラマのためにポタラ宮でアチェ・ラモが上演されるようになりました。18世紀の初頭にはダライ・ラマの夏の離宮ノルブリンカが完成。ショトゥン祭の行事がポタラ宮からノルブリンカへ移されました。この時から一般庶民も一緒にアチェ・ラモを観劇することができるようになったそうです。


ショトゥン祭を訪れるツアー
「トルコ石の湖」ヤムドク湖も訪れる  2018/8/7(火)発 青蔵鉄道で行く遥かなる聖都ラサとショトゥン祭7日間
チベット・タイムトラベル 神話の世界から現代へ  ツェタンとラサ、青蔵鉄道で行く天空の湖ナムツォ 9日間
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添乗員報告記●チベット歴史探訪とショトゥン祭 8日間(2006年8月)
チベット駐在日記●デプン寺・ショトゥン祭の様子(2009年)
チベット駐在日記●デプン寺・ショトゥン祭の1日(2007年)


その3 草原の上でピクニックも楽しめる イェルパ・ツェチュ祭


イェルパ・ツェチュ全景
ダク・イェルパは、ラサの東の郊外約30km、キチュ川をさかのぼった山の中の洞窟群です。古くは7世紀に史上初めてチベットを統一したソンツェン・ガムポ王、8世紀にチベットに仏教を広めたインドの密教行者グル・リンポチェ(パドマ・サムバヴァ)、11世紀にチベット仏教を再興したアティーシャなど、チベットの歴史上のそうそうたる有名人が洞窟に籠もって瞑想修行をしたとされる、ラサ近郊でも有数の修行地なのです。

毎年チベット暦の7月10日にはツェチュというお祭が開かれます。ツェチュとは「(月の)10日」の意味。グル・リンポチェの生涯に関する12の重要な出来事はいずれも月の10日(ツェチュ)に起こったとされ、それらの出来事を記念するための法要が「ツェチュ」祭です。

タンカのご開帳 アチェラモ


タンカのご開帳

アチェラモ


このお祭では、ツェチュの法要のほか、巨大なタンカ(仏画)のご開帳、チベット・オペラ(アチェ・ラモ)も上演されます。ツェチュ祭が行われる時期は洞窟の下には美しい緑の草原が広がり、とても気持ちのいい場所。大勢の巡礼者が敷物とお弁当を抱えてやってきて、ピクニックをしながらお祭を楽しんでいます。観光客がほとんど訪れない、地元の人々のお祭なので、ゆっくりと見学することができます。チベット人と一緒にピクニック気分でお祭を楽しむのがお勧めです。

イェルパ・ツェチュ イェルパ・ツェチュ
イェルパ・ツェチュ

イェルパ・ツェチュ


イェルパからの風景イェルパからの風景