2024年の8月末に、なんと10数年ぶりにラダックに行ってきました。お隣のスピティ(ヒマチャル・プラデッシュ州)にはコロナ直前の2019年と2023年に行っていたし、コロナ後もチベット自治区や青海省などのチベット文化圏には行っていたので、「そんなに言ってなかったのか」とちょっと意外でした。ここ数年は中国領のチベット自治区や四川省をメインで担当していたので、そんなこんなで長いこと行っていなかった訳ですが、実際に行っていたら隔世の感がありました。まあ、レーの変化についてはまた後で…。
ラダックのレー空港は相変わらずのローカル具合でしたが、すぐ隣に巨大なターミナルビルが建設中でした。ただ、ここ数年ずっと工事が滞っていて、いつから使えるのか分からないそうです。そんなところは変わりませんね。
ラダックついてまず訪れたのがレーから36㎞西に離れたニンム村。現地では「ニェモ」とも呼ばれています。そしてご存知(?)風の旅行社のガイドを務めるスタンジンが暮らす村でもあります。彼に「ニンムとニェモ、どっちが正しいの?」と聞きましたが「うーん、ニモかな?」と第3の回答。私の頭の中にはカラフルなお魚の姿しか思い浮かびません。
さて、そんなニンム(ニェモ)ですが、以前は「スタンジンの実家」と紹介されたお宅がリノベーションされて、ヘリテージホテルの「ニンムハウス」として営業していました(と言っても開業は10年ほど前ですが)。スタンジンの実家はニンムの名家である「ナンソ家」。ラダック王国時代には王様の近臣を務めていた家柄だそうです。古いお宅だけあって伝統的な工法で建てられていて、以前はホームステイツアーで活躍していました。前に来た時にお邪魔して立派な台所などを見せてもらったことがありました。
今回泊った3階建ての本館と杏の林に囲まれた庭には5つのベッドルームと、7つのデラックステント、食堂、ヨガルームなどがあります。庭にはオープンエアのダイニングがあり、村で取れたオーガニック野菜を中心にしたヘルシーメニューが楽しめます。特に朝食には、村で取れたヨーグルト、杏のジャム、ハチミツなど、ローカルでオーガニックなメニューが並び、健康的な朝が始まります。高所到着の翌朝にはぴったりのメニューです。しかも、ほとんどの野菜はスタンジンと奥さんが育てたもので、ヨーグルトは彼らが絞った牛乳から作ったとのこと。まさに地産地消。
杏の林の木漏れ日と庭を流れる水路の水が涼を届けてくれます。村の標高は3,200m。空港のあるレーよりも300mも低くなります。裏山から流れる川の水を村に引き込んだ水路が村中を巡り、その水を生かして農業が盛んで、杏や林檎の林も広がります私が訪れた8月下旬はちょうど杏の収穫の時期で、木々には杏が実り、畑には大麦や小麦が色づいていて、美しい風景の中を楽しいおさんぽが楽しめました。自然とともに暮らすラダックの農村の豊かさを感じられる楽しいひと時を過ごすことができました。日本出発前は連日の猛暑で参っていた身体には、翌日からの長くて辛い調査行の前に、高度順応を兼ねたちょうどよい「骨休み」ができました。ラダックに来たら是非一度お泊り下さい。