冬のラダックに現れる氷の回廊「チャダル」を体験

「氷の回廊」チャダルを歩く

「氷の回廊」チャダルを歩く


北インドの山岳地帯に位置する、ラダック&ザンスカール。
夏の間、ラダックからザンスカールへ行くには、片道最低2〜3日かけて車で移動しますが、冬は峠が凍結し、陸路の交通手段が閉ざされます。かわりに厳冬期(1月中旬~2月)の間、利用されてきたのが氷の回廊「チャダル」です。
チャダルは、ラダック~ザンスカールの間に流れているザンスカール河が、厳冬期の間だけ凍結し、期間限定であらわれる「道」。チリン付近のスタート地点から、ザンスカールのパドゥム近くのゴールまで全てを歩くと2週間以上の行程です。凍結しているとはいえ、滑りやすく、割れやすい氷雪の上を歩くのは危険も伴いますが、ラダック-ザンスカール間の冬の唯一の移動経路として人々に利用されてきました。ガイドのスタンジンも、学生時代から冬の里帰りの度にチャダルを利用していた一人です。

夏は水量も多く、泥を含んだ水が流れているザンスカール河。その川面が歩けるのですから自然の力には驚かされるばかりです。
ツアーでは、チャダル・トレックの極一部のみを歩く体験トレックを行います。
*天候や氷の状態によっては、中止や時間・行程の短縮する場合があります。

冬のラダック・ツアーでは、スタート地点のチリン付近(ダクマル周辺)で、数時間ほど凍った河の上を歩きトレッキングの雰囲気を味わいます。

*1 チリン付近~パドゥム付近まで往復

スタート地点(ダクマル)付近

チリン村からさらにザンスカール河を南下すると、ダクマル(赤い石)と呼ばれるポイント付近に差し掛かります。ほぼ同じ場所で撮影した2枚の写真を見比べて見て下さい。夏と冬の河の表情の違いなど分かるでしょうか。

ダクマル周辺(12月末撮影)ダクマル周辺(撮影:12月末)
夏のダクマル周辺(撮影:8月末)夏のダクマル周辺(撮影:8月末)



スタート地点のダクマル(写真中央正面の岩場付近)周辺に、2〜3のエンターポイントがあり、そこは高低差が約1-3m、滑りづらく、簡単に上り下りできる場所がありますので、登山初心者でも無理なく歩けるでしょう。その時の状況をみて、ガイド達が安全な場所を選んでエンターポイントを変え、ザンスカール河の本流の川面に下りることになります。
またガイドはザンスカール出身の風の日本語ガイド、スタンジン・ワンチュックの他に、チャダルトレック経験のあるザンスカール人がサブガイドとして同行し、ガイド達が先頭に立って氷の厚さ・強さを確認しながらご案内します。またチャダル体験を始める前にガイドによるデモ歩行をお見せし、氷の上を歩く方法を指導します。氷の上で滑って転ぶ可能性もありますので、前の方との間に距離を保つようにして歩くことになります。また、希望者にはヘルメットもご提供します。
安全に、かつ楽しく、ラダックの冬の厳しさ、美しさを感じていただけるように、対策を講じていますので、必要以上に怖がらずに参加いただければと思います。

余談ですが、昔はニンム村からチャダルをスタートしていた時期もあると地元出身のガイド達が話していました。それが今では随分南下した場所からスタートできるようになりました。ラダックも少しずつ変化していきます。



よくあるQ&A

Q. 寒さはどれくらいですか?
A. 真夜中、一番寒い時はー30度程度にまで下がります。
ただ体験チャダルの場合は日中のみ行動しますので、想定気温は-10~8前後です。

Q. どんな道具、装備が必要ですか?
A. 全ルートを歩く場合は、冬山登山と同等の装備が必要になります。靴は一般の登山靴ではなく、防水性・防寒性を備えたラバーブーツの方が良いとされています。アイゼンなどは氷を傷つけ、割れやすくしますので履きません。
チャダル体験の場合は日中、日が出ている時間帯に数時間トレッキングをします。保温性・速乾性の高いインナー、フリースなどのミドル、ゴアテックスのアウターシェル、また寒い時のためにインナーダウンはあった方が良いでしょう。また防水性・保温性のある手袋、ウールの靴下、頭と耳を保護する帽子も必要です。また紫外線が強く、雪目になりますので、UVカットのしっかりとした、冬山で使うようなサングラスも必携です。

Q. 1~2月以外の時期ではチャダルはできないのですか?
A. 1月中旬~2月中旬、河が凍結する一番寒い時期のみ可能なトレッキングです。シーズン始めは氷の状態が不安定で危険ですし、2月下旬になると積雪のため、トレッキングに適しません。1月中旬~2月中旬がチャダル・トレッキングのベストシーズンといわれています。


Q. チャダルについて書かれた本はありますか?
A. 数点ですが、あります。参考文献として以下をご紹介します。
・「氷の回廊 -ヒマラヤの星降る村の物語」 庄司康治著 
・「チベットの原風景」 土屋守著
・「ラダックの風息」 山本高樹著
・Ollivier Follmi “Where Heaven and Mountains Meet -Zanskaar and the Himalayas-“(写真集)


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出発日設定2024/01/07(日)
ご旅行代金398,000円
出発地東京
it-sp-ld-13 it-sp-ld-13

ツアー

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