添乗報告記

添乗報告記●青蔵鉄道で行く巡礼者あふれる冬のラサ 7日間(2011年12月)

 

2011年12月29日~2012年1月4日 文●得田 充(東京本社)

「『チベット仏教』というくらいだから、チベットの中心であるラサがチベット文化圏の他のどの地域よりも、荘厳な雰囲気に包まれているのでは」というイメージを出発前に抱いていました。そして農閑期にあたる冬は各地に散らばる多くのチベット仏教徒が巡礼者となりチベットの聖なる都ラサを目指すといいます。そんな濃厚なチベットの空気を期待して、われわれは多くのチベット仏教徒のラサ巡礼を容易にした青蔵鉄道で同じように聖なる都を目指しました。

ツアー スケジュール
 1日目:東京・大阪⇒北京⇒西寧
 2日目:西寧⇒(青蔵鉄道)
 3日目:(青蔵鉄道)⇒ラサ
 4日目:ラサ滞在
 5日目:ラサ滞在
 6日目:ラサ⇒カンパラ峠(ヤムドク湖)⇒北京
 7日目:北京⇒日本




まずは西寧でチベット仏教ゲルク派の開祖ツォンカパゆかりのタール寺を訪れて昼過ぎに青蔵鉄道に乗り込みます。ここから一日かけてラサを目指すのです。
外気温はマイナスでも列車の中は暖かく日中は薄手のフリース一枚あれば十分です。思い思いに移り行く車窓の景色を眺め、みなさんとおしゃべりをしながらゆっくりとツアーが始まりました。

西寧からラサまで24時間列車の旅
西寧からラサまで24時間列車の旅
青蔵鉄道車窓より
青蔵鉄道の車窓より


巡礼者だらけの旧市街

ラサに到着し列車を降りると、指先にじわりと痺れを感じました。高所反応が出てきたようです。しばらくすると治まったのですがやはりここは3,000mを越える高地です。ホテルにチェックインするとまずは体慣らしにバルコルへ散歩に出かけました。
巡礼者の一番のお目当てはラサの中心に建つジョカン寺。その周りを取り囲む巡礼路バルコルは、仏具から衣類、日用品まで揃うバザールにもなっているのです。とにかく人が多い。日が昇ってから沈むまで毎日が縁日のようにごった返しています。
聖地を目指しわざわざ遠くからやってくる人は、伝統的なスタイルで民族衣装を着ている人ばかりなのかと思いきや、普通の洋服を着て五体投地をする人もたくさん見かけました。中には今どきの若者の姿もあります。巡礼は決して一部の熱心な仏教徒だけが特別に行なうものではなく、チベット人の日々の生活に根付く、日常的な祈りの延長にあるのでしょう。

ジョカン寺の屋上にて
ジョカン寺の屋上にて
祈りの回数は人それぞれ
祈りの回数は人それぞれ
民族衣装をまとった巡礼家族
民族衣装をまとった巡礼家族
ポタラ宮の周りは巡礼する人が絶えない
ポタラ宮の周りは巡礼する人が絶えない

翌朝はホテルの屋上から初日の出を眺めることに。旧市街はポタラ宮が望めるようにと、高い建物の建設が制限されているそうで、屋上に上がれば旧市街とポタラ宮がばっちりと見渡せるのです。あいにく雲がかかり日の出は拝めませんでしたが、朝焼け雲と色づく旧市街がとても幻想的でした。
今回は、「チベット仏教の総本山」というべきジョカン寺と日本人とも縁が深い「問答の寺」セラ寺を訪れましたが、どちらも順番待ちをする巡礼者の長い長い列が出来ています。観光客はとても少ない上、巡礼者とは別の入り口から入ったり、逆周りのルートをたどったりするので、一緒に順番待ちをする必要はないのですが、巡礼者には本尊を拝み、その足元に祈りを捧げることが何よりも大切なのでしょう。きれいに列を作り、祈りの順番待ちをしている姿が印象的でした。

旧市街のホテル屋上にて
旧市街のホテル屋上にて
祈りの順番待ち
祈りの順番待ち


巡礼者憧れの地チベット

ヤムドク湖

最後にラサの街を離れ平坦な道を走ること1時間、さらにつづら折りの山道をどんどん登ること1時間。ヤムドク湖を目指しました。カンパラ峠(4,749m)を越えると何ともいえないブルーの湖が目の前に広がりました。ただそこにある自然が神秘的な絶景を作り出すように、受け継がれてきた人々の日々の祈りが聖都・ラサを支えている。なにも、この場所にとって聖地であることは、特別なことではない。そんな風に感じたツアーでした。

巡礼者が多く、観光客は少ない冬は、チベットの当たり前を感じるにはいい時期でしょう。