ブータンの通貨
ブータンの通貨はニュルタム。
四半世紀前の旅行ガイドなどでは「ニュートラム」などと書かれていたと思います。
ニュルタムは、経済的に結びつきの強いインドのインド・ルピーと等価です。
インド・ルピーで買物をすると、かなりの確率でおつりはニュルタムで帰ってきます。
ただ、500インド・ルピーや1000インド・ルピーといった高額紙幣は、まず受け取ってもらえません。
(等価ですが、インドでニュルタムを出しても受け取ってもらえませんのでご注意を)
紙幣は1,5,10,20,50,100,500,1000の8種類です。
最近ではあまり1ニュルタム札は見かけなくなったそうです。
1は表が雷龍/裏がシムトカ・ゾン
5は表が鳳凰/裏がタクツァン僧院
10は表が第四代ジグメ・シンゲ・ワンチュク国王(前国王)/裏がパロ・ゾン
20は表が第三代ジグメ・ドルジ・ワンチュク国王/裏がプナカ・ゾン
50は表が第五代ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(現国王)/裏がトンサ・ゾン
100は表が第四代ジグメ・シンゲ・ワンチュク国王(前国王)/裏がタシチョ・ゾン
500は表が初代ウゲン・ワンチュク国王/裏がプナカ・ゾン
1000は表が 第五代ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(現国王)/裏がタシチョ・ゾン
各紙幣の金額は、通常、我々が使っているアラビア数字と、ゾンカ語の数字で表記されています。
ゾンカ語の数字は間違いやすいのでご注意を!必ずアラビア数字のほうで確認してください。
それでは、ブータンの紙幣をご覧ください。

2025年06月05日現在、ブータン国内で流通している紙幣(表)

2025年06月05日現在、ブータン国内で流通している紙幣(裏)
このほか、郵便局のお土産コーナーに記念紙幣がありました。
<2016年 皇太子生誕1周年記念紙幣>
100ニュルタム札 表が皇太子と国王ご夫妻/裏が雷龍とヒマラヤの雪山
<2011年 国王ご成婚記念紙幣>
100ニュルタム札 表が国王ご夫妻/裏がプナカ・ゾン

<2016年 皇太子生誕1周年記念紙幣>100ニュルタム札/表:皇太子と国王ご夫妻
<2011年 国王ご成婚記念紙幣>100ニュルタム札/表:国王ご夫妻

<2016年 皇太子生誕1周年記念紙幣>100ニュルタム札/裏:雷龍とヒマラヤの雪山
<2011年 国王ご成婚記念紙幣>100ニュルタム札/裏:プナカ・ゾン
※きれいな意匠の記念紙幣ですが、流通しているのを見たことがありません。
パロ空港の郵便局ショップのおねえさんに勧められるまま、買ってしまいました(笑)
補助通貨としてチェルタム(ch)という硬貨がありますが、2025年08月01日現在、殆ど目にすることはありません。
一応、1ニュルタム、50チェルタム、25チェルタム、20チェルタム、10チェルタム、5チェルタムが流通しているとされています。
せっかくなので、チェルタムを見てみたいと思ったら・・・
・寺院の祭壇に供えられたお賽銭に混ざっているのを探してみる
あるいは
・お店で買い物をする際に「おつりにチェルタムを混ぜて」と頼む
・親しくなった人に「チェルタム見せて!」と頼む
そういうときに、相手がチェルタムを持っていれば目(手)にするチャンスはあるかと思います。
お賽銭といえば、ブータン人は寺院にお参りすると、頻繁にお賽銭をあげて礼拝していると感じました。
1ニュルタム札、5ニュルタム札、10ニュルタム札、チェルタム・・・
日本の神社仏閣のような、明確な賽銭箱があるわけではなく、仏像や仏画、仏塔などの前に備えられています。
ガイドつきで旅行をしていると、あまりニュルタムにお目にかかる機会はないかもしれません。
機会があったら、街歩きの際に、ちょっとしたおやつや飲物、おみやげを買ってみましょう。
現地通貨のお札を出して、現地通貨のおつりを貰うと、なんだか旅をしている実感が湧いてきます。
ブータンの切手
ブータンの切手というと、昔はブータン王国のアイデンティティを主張するため、あるいは外貨獲得のため、さまざまな変わり切手が売られていました。
・三角形などの変形切手
・角度を変えるとデザインが変わる3D切手
・光を当てると意匠が浮かびあがるホログラム切手
・1970年代当時は珍しかったステッカー型切手
・表面の造形をプラスチックで表現したプラスチック切手
・レコード・プレイヤーにかけると国歌が流れるソノシート切手、
枚挙にいとまがありません。
最近ではあまり変わった形や意匠の切手は販売されていません。
しかし、テーマを絞ったシリーズ型の記念切手や、アニバーサリー切手など、コレクターの購買意欲をそそる普通の切手は売られています。
<オグロヅル>
毎年冬になるとポブジカに飛来するオグロヅルがデザインされた切手シートです。

冬期にポブジカに集うオグロヅルがデザインされた切手シート
オグロヅルの里ポブジカでホームステイをし、ハイキングをするツアーもあります。。料理づくりを体験したり、ブータン人も憧れるポブジカをゆっくり楽しみませんか?
<聖地巡礼>
ブータンの聖地が9カ所プリントされた切手シートです。あまり聞きなれない珍しい聖地としては、アジャ・ネはモンガルから2日かけてお参りする聖地、シンゲ・ゾンはルンツェから3日かけてお参りする聖地、タチョガ・ラカンは鍛冶職人から聖人になったタントン・ギャルポ建立のお寺です。

ブータンの巡礼地の切手シート 上段:左からキチュ・ラカン(パロ)、ジャンペ・ラカン(ブムタン)、クジェ・ラカン(ブムタン) 中段:左からアジャ・ネ(モンガル)、メンバルツォ(ブムタン)、シンゲ・ゾン(ルンツェ) 下段:左からタチョガ・ラカン(パロ)、チョルテン・コラ(タシ・ヤンツェ)、ドゥンツェ・ラカン(パロ)
<ドゥク・ワンゲル・ツェチュ>
2003年にブータン南部のジャングル地帯を不法占拠したインドのアッサム地方のゲリラを、当時の第4代ブータン国王自らが陣頭指揮をとり掃討しました。その勝利と犠牲となったゲリラ兵、ブータン兵双方の供養のためにドチュラ峠にはドゥクワンゲル・チョルテンという108の仏塔が建てられ、やがて国を守った人々を称えるお祭が行われることになりました。そのため踊り手は全員軍人なのです。

毎年12月13日にドチュラ峠で行われる新しい祭典「ドゥク・ワンゲル・ツェチュ」の切手シート
新しいお祭りドゥク・ワンゲル・ツェチュを拝観するツアーもあります。。森林浴をしながら、先人の踏み固めた古道を歩き、自然あふれる景色を堪能しに行きましょう。
<タントン・ギャルポゆかりの地>
上段の切手は、タントン・ギャルポが建立したとされるパロのドゥンツェ・ラカン。仏塔型の寺院です。下段はタントン・ギャルポが八カ所に架けた鎖橋にまつわる場所などのシートです。

各地に鎖の橋を架け、一介の鍛冶職人から聖人になったタントン・ギャルポゆかりの地シリーズ
<少数民族>
上段の切手は、ガサの奥地で山岳地帯のラヤに住むラヤッパ(パとは人の意味=ラヤの人)と、ブータンの国民食(上がブムタンのそば料理プタ、下がブータンのソウル・フード「エマ・ダツィ」)
下段の切手は、東ブータンのサクテンを中心に住むブロクパ(ブロクの人)です。

上段:ラヤッパ(ラヤ人)とプタ&エマ・ダツィ
下段:ブロクパ(ブロク人)
<タシ・ゴマンとゴムチェン>
タシ・ゴマンは、立体寺院模型。仏像や仏画、仏具が収められており、在家の僧侶である「ゴムチェン」が経文や御詠歌を口ずさみながら、ご開帳します。仕掛扉や引出があり、それを開けながら回して説法を行います。昔はお祭の会場で目にする機会も多かったようですが、現在は廃れつつあります。

タシ・ゴマン(立体寺院模型)とゴムチェン(在家の僧侶)

これがタシ・ゴマン。現在では作れる人が減ってしまい、希少。
ブータンの切手は、ブータンのおみやげのひとつです。興味があれば、ぜひ、買ってみてください。
今回はブータンのお金と切手を紹介しました。