チベットの見所はラサだけじゃない! ツェタン・シガツェ・ギャンツェの魅力

中央チベット 「ツァン」「ロカ」地域は、こんなところ!

チベット仏教の聖地ラサを中心とする「ウ」第2の都市シガツェや歴史あるギャンツェを擁する「ツァン」、そしてチベット文明発祥の地とも称される「ロカ(山南)」。この三つの地域は、チベットにおける政治・宗教・商業・文化の中心地として、古くから大きな役割を果たしてきました。

「ウ」のラサや、「ツァン」のシガツェ、ギャンツェには大僧院が築かれ、各地から巡礼者や僧侶たちが集まり、最高の仏教教育と修行の場として賑わってきました。一方、ロカ地方にはチベット最初の僧院サムイエ寺や、古代王朝ゆかりの地であるツェタンがあり、チベット王権と仏教の起源をたどる旅には欠かせない聖地となっています。

また、インドやネパールとの交易も盛んで、最新の文物や文化がこれらの地を通じてチベットに伝えられたことから、かつては流行の発信地としても知られていました。

とりわけ「ツァン」と呼ばれる地域は、13世紀から17世紀にかけて都が置かれた歴史の舞台。ヤルンツァンポ川とその支流に育まれた肥沃な土地では農耕が盛んで、夏には青々とした麦畑が一面に広がるのどかな風景が広がります。今なお、これらの地域には素朴な村の暮らしと篤い信仰心が息づき、訪れる人々をあたたかく迎えてくれます。

①チベット人発祥の地 ツェタン

ツェタンは、”チベットはじまりの地”。町のはずれにあるガンポリの丘は、観音菩薩の化身とされる「赤い猿」と、美しい「羅刹女」が出会い、チベット民族のルーツがここから始まったと伝えられています。

また、ツェタン周辺にはチベット最初の王朝「吐蕃(とばん)」にまつわる歴史的なスポットが点在しています。初代王が天から降り立ったとされるラパプリの丘や、経典と法具が空から舞い降りてきたというユムブラガン(チベット最古の宮殿)は、その神秘的な雰囲気に包まれています。

さらに、歴代の王たちが眠るチョンギェの王墓群や、チベットを統一したソンツェン・ガムポ王が建てた由緒あるタントゥク寺など、見どころが盛りだくさん。チベットの歴史と伝説がぎゅっと詰まったツェタンは、まさに“チベットのふるさと”を感じられる場所です。

初代チベット王の宮殿 ユムブラガン

初代チベット王の宮殿 ユムブラガン


ユムブラガン宮殿から見下ろすと自然豊かなヤルルン渓谷が広がっています。

ユムブラガンから見下ろすと自然豊かなヤルルン渓谷が広がっています。


吐蕃王朝の名君ソンツェン・ガンポ王墓

吐蕃王朝の名君ソンツェン・ガンポ王墓


吐蕃王朝発祥の地で、歴代の王たちが眠る墳墓が残るチョンギェ(ソンツェン・ガンポ王墓より)

吐蕃王朝発祥の地で、歴代の王たちが眠る墳墓が残るチョンギェ(ソンツェン・ガンポ王墓より)

<立体マンダラ サムイエ寺>

8世紀にチベットで最初に建てられた僧院で、仏教を国教としたティソン・デツェン王によって創建されました。この場所では多くの経典がチベット語に翻訳され、チベット仏教の土台が築かれた、まさに歴史的な場所です。

サムイエ寺の一番の特徴は、僧院全体が立体曼荼羅の構造になっていること。中央にそびえる大本殿は仏教宇宙観の中心「須弥山(しゅみせん)」を表し、そのまわりを囲む建物が4つの大陸と8つの島を表現しています。まるで仏教の世界に入り込んだような感覚になります。

寺の東にあるヘポリの丘に登れば、この美しい曼荼羅の全体像を一望できます。晴れた日には、まさに絶景です!


「立体曼荼羅」サムイェ寺

ヘポリの丘より「立体曼荼羅」サムイェ寺を見下ろす

②チベット自治区第2の都市 シガツェ

ラサから西へ約280km。チベット第二の都市、シガツェは歴史と信仰が息づく町です。16世紀半ば、この地を拠点にシンシャク家が台頭し、やがてチベット全土を支配。一時はこのシガツェがチベットの都となったこともありました。その後、17世紀にダライ・ラマ5世がラサに政権を移してからは、タシルンポ寺の門前町として発展。現在も多くの僧侶が集う、チベット仏教の重要な拠点となっています。

町の周りには豊かな穀倉地帯が広がり、のどかな農村風景が広がります。歴史の重みと、穏やかな暮らしが共存するシガツェは、訪れる人の心をやさしく包み込んでくれる場所です。

<タシルンポ寺>

タルシンポ寺の路地
広大なタシルンポ寺の中

シガツェの町を見守るようにそびえるタシルンポ寺は、この地を象徴する存在です。ゲルク派の六大僧院のひとつで、15世紀に、のちのダライ・ラマ1世となるゲンドゥン・トゥプによって建立されました。

その後、この寺はダライ・ラマに次ぐ高位の僧「パンチェン・ラマ」の拠点となり、代々のパンチェン・ラマがここで座主を務めてきました。広大な僧院の中には、歴代パンチェン・ラマの霊塔や、高さ26メートルを誇る弥勒菩薩像が安置されており、荘厳な空気に包まれながら巡礼者や観光客を迎え入れてくれます。

タルポンシ寺に向かって祈りをささげる

タルポンシ寺に向かって祈りをささげる

<シャル寺>

シガツェ郊外にひっそりと佇むシャル寺は、11世紀に建てられた歴史ある古刹です。

14世紀には、チベットを代表する大学者プトゥンがこの寺の座主を務め、多くの学問と芸術が花開きました。この時代に描かれた170もの曼荼羅(まんだら)は、今もその精緻な美しさで訪れる人を魅了しています。

寺の壁には、ネパール様式をはじめとする様々な時代の影響を受けた美しい壁画が残されており、静かな境内でゆっくりと眺めていると、時を超えたチベットの芸術と信仰の世界に引き込まれるようです。

シャル派の名刹シャル・ゴンパ

シャル派の名刹シャル・ゴンパ

シャル寺の壁画①
シャル寺の壁画②

<密教壁画好きにはこちらも! ゴンカル・チューデ>

ラサ・ゴンカル空港から約25kmほどの距離にある、15世紀に創建されたサキャ派の名刹です。カーラチャクラ、ヘーヴァジュラ、チャクラサンヴァラ、グヒヤサマージャ、ヤマンタカなどの密教仏が描かれた壁画が納められており、チベット人のみならず世界的にも非常に稀有な密教壁画として高く評価されています。

ゴンカルチューデの壁画①
ゴンカルチューデの壁画②
ゴンカルチューデの壁画③
ゴンカルチューデ寺のヘーヴァジュラ像

※原則お寺の内部は写真撮影厳禁です。特別な許可を得て撮影しています。

③交易で栄えた古都・ギャンツェ

ギャンツェの街並み

ギャンツェの街並み

ギャンツェは、ラサ・シガツェとインド、シッキム、ブータンとの交易路上にあり、古くから栄えた古都。丘の上にあるギャンツェ・ゾンと呼ばれる城塞跡には、かつてギャンツェ王が住んでいました。1903年に攻め入ったイギリス軍も苦戦を強いられたそうです。

ギャンツェ・ゾン

ギャンツェ・ゾン

<パンコル・チューデ>

ギャンツェの町の中心にそびえる歴史ある僧院。15世紀初頭、ギャンツェ王によって創建され、特定の宗派に属さず、さまざまな宗派の学堂が併設されたことから、中央チベットにおける仏教学問の重要な拠点として発展しました。
中でも必見なのが、チベットでは珍しいネパール様式の大仏塔「パンコル・チョルテン」。その内部には、美しく保存された仏画が無数に収められており、訪れる人々を圧倒します。

美しい壁画が多数残るパンコル・チョルテン

美しい壁画が多数残るパンコル・チョルテン


チベットを訪れるうえで、ラサは絶対はずせない場所ですが、少し日数を延ばしてシガツェ、ギャンツェにも足を運んでみてはいかがでしょうか?

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