添乗報告記●与那国馬の背に乗って風になれたのか?(2021年4月)

ツアー名:与那国馬の背に乗って風になる 5日間

与那国島は風の強い島です。
一番近い陸地である台湾まで111㎞。石垣島までは約120㎞。
いわゆる「絶海の孤島」であるため、常に強風が吹いています。
一説には与那国島の別名の「どなん」は渡るのが難しい(渡難)ことからついたとも言われています。

そんな「日本最西端の地」与那国島には島固有の「与那国馬」と呼ばれる在来種の馬が生息しています。
今回は、乗馬初心者(と多少経験のある)の老若男女6名のお客様と共に、与那国馬に乗って島を探検する新企画に添乗してきました。


与那国馬とご対面

今回、我々を案内してくれるのは「与那国馬風(う)牧場」の田中さん。
与那国馬の魅力にはまり10数年前に与那国島に移住。最初は数頭の与那国馬を購入し、徐々に頭数を増やして現在は10数頭を所有しています。

う牧場で乗馬レッスン

う牧場で乗馬レッスン

与那国馬はモンゴルから来たらしいと言われていますが(詳細は不明)、実際に対面した与那国馬はモンゴル馬よりも一回りは小柄。しっかりと躾けられているからか、単におとなしいからなのか、お尻の前を通ってもモンゴルのように蹴られることはありません。各自、自分の乗る馬をブラッシングして「よろしくね」と声を掛けます。

Dr.コトーの浜へ

口頭での諸注意の後は自分で馬を操る練習=「引き馬卒業講座」を受講し、卒業検定を受験します。風(う)牧場では、馬をコントロールするのにハミは使わず、与那国で伝統的に使われてきた「ウブガイ」という馬具を使っています。ウブガイは馬の顔を両側から挟み込むような形状で、顔と接する部分にコブが付いています。左右に手綱をひくとコブが顔に当たり馬が方向を変えるのです。ハミに比べて馬への負担が小さいということですが、馬をコントロールする力はハミより落ちます。性格がおとなしく、人に慣れた与那国馬だから可能なのでしょう。

牧場の囲いの中で、馬を自分で「進める」「止める」「右左に曲げる」という基本の動作を練習し、田中さんの「検定」を受けます。ほぼ初心者ばかりの中、皆さんちょっと苦労しましたが、どうにか合格し囲いの外に出る許可が下りました。

さあ、いよいよ外場です。まずは、牧場近くの比川の浜へ。ここはTVドラマ化された漫画『Dr.コトーの診療所』の撮影が行われたロケ地で、撮影が行われた診療所のセットが海岸に残されています。落ちても大怪我をしない砂浜で、しっかりと常歩の練習をします。砂浜を踏みしめるサクッサクッという音を聞くと、与那国島で乗馬している実感が沸き、気分がぐっと上がってきます。

「コトーの浜」を歩きます

「コトーの浜」を歩きます

「天上の草原」へ

午後は、田中さんが「天上の草原」と名付けた丘の上の草原を目指します。詳細な場所は「企業秘密」ということでここには書けませんが、牧場の北にある山を登り、密林を抜けて進むと、やがて与那国島で一番大きな集落である祖納(そない)を見下ろす高台の上にある草原にたどり着きます。そして、祖納の先には、ずーっと陸地が見えない大海原が広がります。

遥か海を見下ろす「天上の草原」

遥か海を見下ろす「天上の草原」

ここまで海から密林、山、草原と周囲30㎞にも満たない小さな島とは思えないほど変化に富んだ与那国島の自然の豊かさを、馬上から感じて軽い驚きを覚えます。草原につくと田中さんの背中のリュックからは冷たいお茶が登場。「天上の草原」で、しばしのお茶休憩と、自由時間を楽しんだ後は、一路牧場へ戻ります。帰巣本能で徐々に早まる馬の脚をしっかりと制御しながら、牧場に無事帰還。1日目の乗馬が無事に終了します。

与那国のジャングルへ

乗馬2日目の午前中は、「ジャングル」へ出かけます。与那国島は熱帯雨林気候に属しているため、一年中温暖で雨が多く、島内いたるところに鬱蒼としたジャングルが広がっています。牧場を出てしばらく舗装道路を北上。さらに未舗装の山道へ入り、横から飛び出てくる木の枝や葉っぱをかき分けるように熱帯のジャングルを踏み分けて進みます。前の人がかき分けた枝の跳弾が飛んでくることがあるので、ヘルメットとプロテクターはここでも活躍してくれます。

下草に覆われたところも馬なら楽々です

下草に覆われたところも馬なら楽々です

ジャングルの中は馬が大好きなバナナの葉っぱなど、おいしい食べ物だらけなので、馬たちは隙あらば道草を食べようとします。無暗に道草を食べさせると、馬は人間を甘く見るようになるので、「道草を食わさないでください!」という田中さんの声が何度も響きます。

森を抜け、不意に眼前の展望が開けたところでお茶休憩。田中さんの背中でカランカランと鳴っていた氷入りの水筒が再び登場します。乗馬中は水分補給ができないので、休憩中に飲むお茶は格別です。休憩後は、再びジャングルの中を右へ左へ、登って下ってと縦横無尽に進みます。最後は、大きな湿地帯まで降りてきて、再び牧場へ戻ります。

ゴールの湿地帯

ゴールの湿地帯



与那国のモンゴル

左側は太平洋の大海原

左側は太平洋の大海原

午後は、いよいよ「与那国のモンゴル」です。その名の通り、モンゴルを彷彿させる草原を目指します。まずは、海岸沿いの車道をノンビリと闊歩します。左側は太平洋の大海原。風がビュービュー吹いています。

アダンの林を抜けて草原へ

アダンの林を抜けて草原へ

やがて、車道を離れてところどころアダンの生い茂る草地へ入ります。するとあちらこちらに人影ならぬ「馬影」が。こちらに向いたピンと立った馬の耳から、我々に興味をもっているのが分かります。このあたりで放牧されている半分野生状態の与那国馬です。「これぞ、与那国」という風景に気分も高まりますが、気を付けないと、急に走り出した馬につられて自分たちの乗った馬も走り出してしまうので、浮かれずしっかり手綱をひくように注意しながら進みます。

こちらを気にする野生馬たち

こちらを気にする野生馬たち

断崖絶壁の間際まで歩を進めたら、しばしの休憩です。皆さんの馬上姿を撮影していたら、周りの馬につられて自分の馬が走り出してしまったお客様が、ビックリして落馬。速度も出ていなかったし、エアジャケットを着ていたので大事に至りませんでしたが、ちょっとヒヤリとしました。お客様も走りたい気持ちと怖いという気持ちがせめぎ合ってしまったのでしょう。迷いは馬のコントロールを狂わせます。

断崖絶壁でポーズ

断崖絶壁でポーズ

最後に広い草原へ。乗馬の上手な方ならば気持ちよく走り回れるでしょう。今回は初心者コースなので走らずに、のんびりと一回り。そうこうしているうちに小雨が降ってきたこともあり、牧場へと戻ります。これで、2日間の乗馬プログラムが終了です。

気づくと馬に囲まれています

気づくと馬に囲まれています

乗馬を終えて

今回は初心者参加okのコースだったので、「風になる」ほど走り回ることはありませんでしたが、与那国島特有の強い風の中、まるで風を切って走っているような気分を味わうことができました。与那国馬は見た目の可愛らしさに似合わず、意外に「走りたがり」です。上級者であれば、しっかり走れる場所があちこちにあるのでエキサイティングな乗馬が楽しめるでしょう。
春先だったので海には入りませんでしたが、次は夏の海馬も楽しみです。

モンゴルを彷彿させる草原

モンゴルを彷彿させる草原



日本最西端の島を在来馬で駆ける!

【東京羽田発】海、森、草原へ! 馬で往く夏の与那国島 5日間

出発日設定2021/06/04~2021/10/22
ご旅行代金245,000円~278,000円
出発地羽田空港

コメント一覧

所謂、「与那国モンゴル高原」に居る馬たちは、元論、純与那国馬もいると思いますが、もしかすると、混血(鼻に白い筋が有ったり)もいるのではないでしょうか?    間違っていたら、ごめんなさい。 

J2021.06.03 07:49 pm

コメントありがとうございます。 さすが、Jさんよく観察されていますね! はい、正解です。 あのあたりで放牧されている与那国馬は混血種も混じっていて、サイズの大きめの馬や、毛並みの違う馬もいるのです。嘘か本当か「食用にするために大きい馬を掛け合わせた」という話も聞いたことがあります。

なかむら2021.06.07 11:58 am

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