【特集】ブータンのお祭(ツェチュ、ドゥップ、ドムチェ)

プナカ・ツェチュではトンドル(大仏画)が掲げられることもある

プナカ・ツェチュではトンドル(大仏画)が掲げられることもある

What is ツェチュ祭

ツェチュ祭はブータンにチベット仏教を伝えた聖者グル・リンポチェ(「偉大なる師」の意味 サンスクリット名:パドマ・サムバヴァ=「蓮の花から生まれたもの」)の偉業を称える祭です。ツェチュとは「(月の)10日」の意味。グル・リンポチェの生涯でおこった重要な出来事は各月の10日に起きたとされ、それらを記念してツェチュ法要が行われます。ツェチュでは「チャム」と呼ばれる仮面舞踊や、仏法や教訓話を人々に理解しやすいように表現した劇が披露されます。お祭によっては、見るだけで功徳が積めるといわれる「トンドル(大仏画)」が夜明けと共に開帳されることもあります。

ツェチュ祭で披露される仮面舞踏(ウォンディフォダン)

ツェチュ祭で披露される仮面舞踏(ウォンディフォダン)

祭で舞われる「チャム」は、単なる娯楽的な見世物ではなく、密教教義の裏づけのある儀式・法要を舞踊化したものです。一般人にも分かりやすい形で尊格を舞台上に出現させるため、踊り手はその尊格になりきります。チャムの中にはシャナ(黒帽の舞)など宗教儀礼として重要なものも数多くあります。難しく考える必要はありませんが、礼節を持って観賞しましょう。
※ツェチュ祭は一部のお祭の名称です。ツェチュ祭とは異なる祭も多くあります。

ギュ・ギン 棒のギンの舞

ギュ・ギン 棒のギンの舞

Who is グル・リンポチェ

パドマサムバヴァの八変化=グル・ツェンゲ(ウォンディフォダン)

グル・リンポチェ(パドマ・サムバヴァ)の八変化=グル・ツェンゲ(ウォンディフォダン)

グル・リンポチェは、ブータンに仏教を伝えた人物として国民から絶大な人気と尊敬を集めるヒーローです。様々な超能力や法力にも精通していた密教行者で、8世紀後半、ブータンを含むヒマラヤ地域一体に仏教を広めるのに大きく貢献しました。歴史上実在した人物ですが、神格化されており、歴史的事実と伝説が区別できないほど混ざり合っていると云われています。

チベット仏教・ニンマ派の開祖で、チベットで最も古い僧院サムイエ僧院を完成させたことでも有名です。ブッダが入滅する際、「秘密の教え(密教)」を確立する者としてその誕生を予言したことから「第二の仏」と称されることもあります。

ブータンにもグル・リンポチェ縁の史跡が数多く残されていますが、特に有名なのがタクツァン僧院です。現在、僧院のある場所で瞑想した後、悪霊を調伏した時の姿がドルジ・ドロという虎に跨った忿怒尊の姿と伝えられています。グルは教えを説く相手や場所にあわせて姿を変えて現れたとされ、ツェチュ祭のフィナーレを飾るのは「グル・ツェンゲ」(グル・リンポチェ八変化相の舞)です。


When & Where ブータンの祭、いつ、どこで?

ブータンの祭はブータン暦に基づいて決定するため、毎年時期が異なります。
※以下の表は時期目安として風の旅行社が作成したものです。

ブータンお祭りカレンダー

ブータンのお祭り開催日一覧表はこちら!


ツェチュ祭の楽しみ方

パロ・ツェチュのトンドルのご開帳

民族衣装を着てブータン人になりきろう!

ブータン人はゾンや寺院では正装しないといけないので、祭の日はみんな民族衣装を着ています。そんなブータン人と一緒にあなたも民族衣装「ゴ(男性用)」、「キラ(女性用)」を着てみては?

晴れ着でおめかしした女の子(パロ・ツェチュ祭)

衣装&着こなしチェック!

ブータン人は着道楽です。「ハレ」の日の祭は、自慢の一枚を着る&見る絶好のチャンス! 人々のおしゃれチェックも祭の楽しみのひとつです。写真は韓流スターを意識した(?)ティンプーの若者達。

k-pop風な若者

ブータン人と一緒に祭を見よう!

祭見物は敷物を持参して地面に座って観賞します。ブータン人は家族総出でお弁当持参で見ていることも多いです。隣にいると「どこから来たの? これ食べる?」なんて自然に会話が始まるかも。お菓子などあると喜ばれるし、話も弾みます。

お祭に来た子供たちも楽しそう

トンドルに触れよう

大仏画トンドルは「見るだけで功徳が積める」とても有難いもの。ツェチュ祭でトンドルがご開帳されるとブータン人はBlessing(祝福)を受けられるように長蛇の列を作り、御前へ進み、裾に頭をつけてお祈りします。観光客も触って大丈夫なので、是非ブータン人と一緒に並んでみては?

クジェ・ラカンのトンドル(大仏画)御開帳



ツェチュ祭あれこれ Q&A

ツェチュ祭

※ツェチュ祭は一部のお祭の名称です。ツェチュ祭とは異なる祭も多くあります。


祭の一日の流れってどうなってるの?

当日のプログラムは決まっていますが、開始・終了時刻は寺院の都合によるため、かなり曖昧です。何時何分きっかりに始まる、終わる、ということはありません。気持ちに余裕をもって鑑賞しましょう。

始まりは法要
ツェチュ祭の法要
生きとし生けるもの全ての幸せを祈願します(※祭りの最終日のトンドルご開帳にあわせて行われます。

チャムの合間に…
ツェチュ 村娘の踊り
地元の女性達の踊りが披露されます。煌びやかな民族衣装(キラ)もみどころの一つです。

チャム(仮面舞踊)
プナカ・ツェチュ祭 仮面舞踊の様子
メインは当然、チャム(仮面舞踊)です。僧侶たちが仮面を被り、神様や仏様になり切って、悪魔や悪霊を調伏したストーリーを再現します。

踊り以外にも楽しみが……
お祭に出る屋台
日本のお祭のように食べ物や、ゲームの屋台も沢山出ています。

祭を盛り上げる道化 アツァラ
アツァラと呼ばれる道化が祭を盛り上げます。お祭の時には傍若無人に振舞うことが許されたイタズラ者なので、無理難題を吹っかけられることもあるので気をつけてください!



もっとブータンのお祭を知るための参考図書

ブータンのツェチュ祭―神々との交感 (アジア民俗写真叢書)
平河出版社/解説:今枝由郎 写真:永橋和雄(amazonのサイトに飛びます)
ブータン・風の祈り ニマルン寺の祭りと信仰
平河出版社/解説:今枝由郎 写真:田淵暁(amazonのサイトに飛びます)


2020年 ブータンのお祭ツアー

ブータンの「時代祭」ドムチェを訪れる
ブータン最大の祭を訪れる
都会と田舎、2つの祭りをしっかり楽しむ

日本語ガイドがご案内

ゆったり楽しむ秋のブータン 2つのツェチュ祭とパロ、ポブジ谷訪問 9日間

出発日設定2024/09/21
ご旅行代金724,000円
出発地東京(羽田)

 

ブータンのお祭り開催日一覧表

開催日はブータン暦で決まり、毎年変わります。発表後、現地の都合で変更されることもあります。春のパロ、秋のウォンディ、ティンプーのツェチュが規模も大きく有名ですが、田舎のツェチュも素朴な趣が楽しめます。
下記は、現在発表されているブータン全土の祭一覧です。現地側事情により日時が変更になることもありますので、あらかじめご了承下さい。
※2020年の祭スケジュールの暫定日程も発表になりました。お問合せください。



お祭り名
(開催場所)
説明 開催日
2019年 2020年
プナカ・ドムチェ
(プナカ)
「ドムチェ」はチベット軍との戦いを再現した戦勝記念の祭。パサップと呼ばれる兵士による躍動感のある剣舞などが見られる。「動」の祭と呼ばれ、観客は祭の動きにあわせ会場内を移動する。 2/12~2/14 3/2~3/4
プナカ・ツェチュ
(プナカ)
プナカのツェチュ祭はドムチェ最終日翌日から開催される。このツェチュでのみ見られるオリジナル演目もある。 2/15~2/17 3/5~3/7
ゴムコラ
(東ブータン・タシガン)
パドマサンバヴァが瞑想したと言われるゴムコラで開かれるツェチュ。 3/14~3/16 4/1~4/3
パロ・ツェチュ
(パロ)
ブータン最大のツェチュ祭。5日間行われ、最終日にはトンドル(大仏画)が掲げられる。 3/17~3/21 4/4~4/8
チョルテンコラ
(東ブータン・タシヤンツェ)
ジェ・ケンポが建てたと言われる、ネパール式のチョルテンの周りを夜通し回る(コラ、コルラする)お祭り。 3/21,4/5 4/8,4/22
シャクナゲ祭
(ランペリ、ティンプー県)
ドチュラ峠をプナカ側に下ったところにあるランペリ植物園で行われる。 4/19~4/21 未定
ウラ・ヤクチョ
(ブムタン)
ブムタン谷最奥の村ウラで行われるため、昔ながらの民族衣装を着た村人たちが集まる。意外と観光客多し。 4/16~4/20 5/4~5/8
ニマルン・ツェチュ
(ブムタン)
ウラ・ツェチュと同じく田舎の祭り。雨季に行われることが多く、あまり好天気は望めない。例年クジェ・ツェチュと同時期に行われる。 7/10~7/11 6/30~7/1
クジェ・ツェチュ
(ブムタン)
クジェ・ラカンの前で行われる。たった1日しかないが、トンドル(大仏画)も掲げられる。 7/11 6/30
マツタケ祭
(ゲネカ、ティンプー/ウラ谷、ブムタン)
マツタケの産地のゲネカとウラ谷で行われ、焼きマツタケなどを楽しめる。 ゲネカ8/15,16 ウラ8/23,24 ゲネカ8/15,16、ウラ8/23,24
Tour of the Dragon
(ブムタン~ティンプー)
ブムタン・ジャカールをスタートし、首都ティンプーまで走り切る自転車レース。例年午前4時頃スタート、上位入賞者はお昼にはゴールする。 9/7 9/1
ティンプー・ドゥプチェン
(ティンプー)
ティンプーのタシチョ・ゾンの落成を記念して始まったと言われている。読経が何日間かあり、仮面舞踏は1日のみ。ティンプー・ツェチュの前日に終わるので、「ティンプー・ツェチュの最初の日」とブータンでは理解している人が多い。 10/4 9/22
ウォンディ・ツェチュ
(ウォンディフォダン)
ティンプー・ツェチュとほぼ同時期。年によりトンドル(大仏画)が掲げられることもある。 10/6-10/8 9/24~9/26
タムシン・ファラチョパ
(ブムタン)
「ファラ」とは豚のこと。初日に神様の化身とされる一匹の豚を主人公にした踊りがある。 10/8~10/10 9/19~21
ティンプー・ツェチュ
(ティンプー)
首都で行われるだけあり、観光客数もかなり多い。2008年よりタシチョ・ゾン横の特設会場で開催。ウォンディ・ツェチュと同時期に行われる。 10/8~10/10 9/26~28
タンビ・マニ
(ブムタン)
クジェ・ラカンのさらに奥地にあるタンビ僧院で行われる。刀を使った踊りやトルジャ(たき火を飛び越える儀式)が見られる。かなりローカルなので外国人も少ない。 10/11~10/13 9/29~10/2
ジャカール・ツェチュ
(ブムタン)
チョコル谷の中心にあるジャカール・ゾンで行われる。 11/5~11/9 10/23~10/27
チュカ・ツェチュ
(チュカ/プンツォリン)
ティンプーから車で3時間ほどの町チュカのツェチュ。あまり宣伝されていないので観光客が少ない。 11/6~11/8 10/24~10/26
ジャンベ・ラカン・ドゥップ
(ブムタン)
ジャンペ・ラカンができたのを記念した法要といわれる。初日夜に火を焚き、法要と火踊りが行われることでも有名。 11/13~11/16 10/31~11/3
プラカール・ドゥチュ
(ブムタン)
ジャンペ・ラカン・ドゥップと同時期に行われることが多い。規模はそれほど大きくなく、観光客も少ない。 11/14~11/16 11/1~1/3
オグロヅル祭
(ポブジ谷)
毎年オグロヅルが越冬する谷で近年始まった祭。ツルの着ぐるみでツル踊りも舞われる。 11/11 11/11
ペマガツェル・ツェチュ
(東ブータン)
東ブータン、ペマガツェルで行われるツェチュ。トンドルのご開帳がある。 11/11~11/13 11/21~11/24
モンガル・ツェチュ
(東ブータン)
東ブータン、モンガルで行われるツェチュ。 12/4~12/6 11/21~11/24
タシガン・ツェチュ
(東ブータン)
ブータン最東部、タシガンで行われるツェチュ。 12/5~12/7 11/22~11/25
ジャンベ・ラカン・シンゲ・チャム
(ブムタン)
ジャンベ・ラカンで行われる1日だけの仮面舞踊の祭です。 12/12 11/30
ナラカル・ツェチュ
(ブムタン)
ブムタン・カルチュラルトレックのルート上にある寺。歩いていくしかないので、大変素朴な「大穴」ツェチュ。 12/12~12/14 11/30~12/2
ドゥク・ワンゲル・ツェチュ
(ドチュラ峠)
第4代国王の命で始まった新しいお祭。ブータンヒマラヤを望むドチュ・ラ峠で開催される絶景の祭り。毎年西暦の12/13に開催される。 12/13 12/13
トンサ・ツェチュ
(トンサ)
年によるが、年末年始頃に行われることが多い。真冬に行われるので防寒対策を万全に。最終日にトンドルのご開帳がある。 1/4~1/7 12/10~12/13
ルンツェ・ツェチュ
(東ブータン)
東ブータン、ルンツェで行われるツェチュ。 1/4~1/7 12/21~12/24