添乗ツアー名 ●お茶を愉しむ旅 韓国編
2025年4月22日(火)~4月25日(金)
文・写真 ● 平山未来(東京本社)
新茶の最盛期といえばGW。混雑する少し前を狙って、「お茶を愉しむ旅 韓国編」で新緑まばゆい韓国をのんびりゆったり旅して来ました。
今回の旅のメインテーマはお茶と発酵食。新茶が芽吹く新緑の季節に合わせて、韓国一のお茶処として有名な宝城(ポソン)と、コチュジャンの名産地として知られている淳昌(スンチョン)を訪れる旅です。
韓国の南部に位置しているため、往復の飛行機は釜山を利用。成田からだと2時間、福岡からだとたった1時間で到着。韓国は時差もなく、日本国内線の感覚でお気楽に行けてしまうのが良いですね。
お茶の旅・第一弾は日本一の茶処・静岡をめぐる旅でした
実は2022年前後のコロナ禍中に、海外旅行へ行けなくなった時期、弊社では細々と国内の旅をいくつか企画していたのですが、そのうちの一つが「お茶を丸ごと愉しむ旅」でした。
企画者の私平山が、海外に行くたびに感じていたこと=海外では緑茶や抹茶が世界的に大人気なのに、日本人がお茶にまつわることをあまり知らない&急須でお茶を飲む人口が減ってる影響で、日本から茶農家さんやお茶屋さんが年々減っていることに危機感を覚え、摘んで・作って・混ぜて・味わう、『徹底的にお茶を愉しむ旅』を創ってみたわけです。私たちが茶葉を消費しなくなればなるほど、茶農家さんは茶の栽培をやめてしまったり、茶畑が荒廃し、日本の美しい茶畑の景色が失われるのは残念でなりません。

裏山の茶畑にて。すっかり茶摘みにハマった企画者。新茶の時期の茶畑は癒し度抜群
実際、ゆったりとお茶を急須で淹れて飲む生活は、ペットボトルにはない心豊かな時間をもたらしてくれます。第一弾の旅では、産地や品種による味の違い、合組(ブレンド)の奥深さ、茶町を歩いて問屋さんのお仕事を知ることで、お茶の世界はとっても奥深いということがよくわかる旅でした。
これが想像以上に大好評で、海外で、また少し違った視点から楽しむ旅を作れたら良いな~と、韓国の現地パートナー「朴さん」にリクエストしてみた結果、何度か下見を重ねて、今回の宝城の企画が実現したのです。
夢がまた一つ叶って、企画者の私も嬉しい限り!です。
旅の前半は茶畑散策&お茶にまつわる食や体験尽くし
初日は釜山空港から3時間ほど西へ移動し、海沿いにある宝城(ポソン)に到着。お茶処、「宝城(ポソン)」の地図は↓
日本の茶処といえば静岡、鹿児島ですが、海が近いのが共通点。日あたりが良く、海からの湿った風がチャノキの生育に大事なことがよくわかります。ちなみに宝城の山を緑色に染める茶畑の風景は、ドラマ「夏の香り」が撮影されたロケ地としても有名です。
日本ではなかなかお目にかかれないスケールのおっきな茶畑をのんびり散策し、これまた日本ではなかなかお目にかかれない充実感のある韓国茶博物館を見学したり、韓国式の茶礼体験、草木染め、韓服体験、お茶をふんだんに使った韓定食やお茶の足浴も楽しみました。
韓流ドラマで、宮廷でお茶を飲んでいるシーンがたびたび登場しますが、韓国の人にとってのお茶は 上流階級の人々の飲み物でした。韓国の冬は、日本よりはるかに気温が低く、茶(チャノキ)の栽培には適していないため、日本に比べて収穫量が少なく、高級な飲み物として位置づけられています。韓国の庶民にとって緑茶は高級品であるため、日常的に飲むお茶は、山野に自生する植物を工夫して飲み物にしてきました。
そして韓国でも、独自の茶の作法「茶礼(チャレ)」が受け継がれていて、礼で始まり、急須や茶碗・茶巾の扱い方、湯の温度 に配慮していることなど、日本の茶道にも似ている点があります。韓国と日本では、お茶の楽しみ方や、敬意を持ってお茶を振る舞うことが共通している慣習と言えそうです。
旅の後半は発酵食作りや新緑ハイキングを満喫
旅の後半戦は、伝統味噌(コチュジャン)作り、キムチ作り、伝統酒の酒造見学&試飲、旬の山菜がたっぷり載ったビビンバを食べ、初々しい緑に癒される新緑の渓谷ハイキングを楽しんできました。お土産の手作りキムチや味噌、試飲して買った美味しいお酒がすごく嬉しい!と皆さん口々におっしゃり、カバンの中が日に日に重くなっていく幸せな重みを噛み締めながらの帰国。帰国してからもまだしばらく幸せの余韻に浸れるのも嬉しいポイントです。
最終日は剛泉山ハイキングへ。新緑の景色がそれはそれは美しく、色とりどりの新緑輝く渓谷道に癒されながらの往復2時間のおさんぽ。この時期は特にうれしい春の山菜もおなかいっぱい食べ、生命力に満ち溢れた自然の恵みをたっぷりと堪能してまいりました。
それぞれ趣が異なる韓屋でゆったりステイ
今回泊まった2か所の韓屋はいずれも我々だけの貸切だったので、静かに過ごせて、「自分たちのおうち」感が増して、リラックス度も高め。一つ屋根の下で共に暮らす時間が長くなると、旅仲間同士の距離感や親近感がグッと近くなるのも韓屋泊の魅力の一つですね。2か所目の韓屋は伝統酒の酒造が併設されていたため、最後の晩はおいしいお酒を味わいながら、夜遅くまで宴が続いたようです。
伝統的な建物は居心地も住み心地もよく、伝統的な発酵食品をふんだんに使い、旬のお野菜がモリモリな食事は、食べる度にどんどん元気になっていくことがよくわかります。心身ともに旅の前より元気になったよー!という方が今回の旅でも続出していました。
ちなみに今回のツアーに参加された6名様の年齢層は30代~70代の方々だったので、ちょうど親子のように見える(?)らしく、韓国人の方々から「みなさん家族旅行ですか?」と間違われるくらい仲が良く、終始和やかな雰囲気で楽しめた、あっという間の4日間でした。これも少人数の旅だからこそ生まれるアットホームさといえるでしょう。
日本と近いけれども、お茶文化も発酵食も似て非なる韓国。田舎に足を伸ばせば、どこかホッとする懐かしい景色の数々。まさに「百聞は一見にしかず」ですよ!
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