第4弾は、中央アジアからペルシア(現イラン)を目指します。途中サマルカンド、ブハラ、ヒヴァ、そしてトルクメニスタンも訪れます。キジルクム砂漠を縫うようイスラム文化が花開いた都市を進み、さらに、カラクム砂漠を抜けて仏教が最も西にたどりついた地も訪れます。このルートは、チンギス・ハーンやティムール、そしてロシアが帝国を拡大していった『覇権への道』でもあるのです。
注)シルクロード大走破2020日程用の記事です
■サマルカンド
まずは、青の都サマルカンド。チンギス・ハーンのモンゴル帝国が空中分解した後、中央アジアを統一したティムール帝国(1370~1507)の都。以前はマラカンダと呼ばれ、シルクロードを往来したソグド商人が活躍し繁栄していました。1220年チンギス・ハーンに、徹底的に破壊されましたが、ティムールによって再び息を吹き返します。ティムールは遠征先から技術者を連れ帰り、サマルカンドを再建したのでした。
■ブハラ
その後、ペルシャ湾、インドや明と国境を接するまで勢力を拡大したティムール帝国も内紛で衰退していきます。そこで覇権を握ったのがブハラ。チンギス・ハーンの血統を継ぐシャイバイニー朝以後、16~19世紀頃までブハラに都を置く3つの王朝が繁栄していました。
青い空に映えるブハラのカラーンミナレット
アルク城で出会った制服姿の女子学生
■ヒヴァ
ヒヴァは、アムダリア川の流れが変わったことで衰退していったクフナ・ウルゲンチ(現トルクメニスタン領)に代って、17世紀以降繁栄しました。当時の王は奴隷売買を始め、恐怖政治を行っていたそうですが、旧市街は、城壁に囲まれ、ミナレットやモスク、メドレセ、土壁の家々などが残る街並みで、中世イスラム都市のイメージを私達も見ることができます。このツアーでは、世界遺産の旧市街「イチャン・カラ」で半日フリータイムがあります。
さあ、ここから国境越えです。謎多き未知の国トルクメニスタンとは?
■トルクメニスタン
イランの北、カスピ海の東に広がる乾燥した土地トルクメニスタン。国土の70%が砂漠で、紀元前よりペルシア、アレキサンダー大王、チンギス・ハーン、ティムールなどの大国に支配されて来ました。その後の16~19世紀にトルクメン人の国が形成されていきます。彼らの中にはイラン人やロシア人を襲っては、ヒヴァの奴隷市場へ売りさばく者たちもいたようです。ロシアはそれを理由に侵略を始めますが、その抵抗はすさまじく、一度はロシア軍を追い返すほどでした。ロシア併合、ソ連解体後、独立。ニヤゾフ初代大統領は独裁政治を敷き、謎の共産国家として長く鎖国に近い状態でしたが、最近、地下資源を元手に国力を整え、外国にも門戸を開きつつあります。
■地獄の門
天然ガスの発掘調査の途中の事故でできた巨大ガスクレーター。ガスの噴出を止めるために火をつけたところが40年間燃え続けています。奇しくも、ここはゾロアスター(拝火)教が国教となったペルシアの隣国トルクメニスタン。古代の人々は、地下のガス鉱脈から、たまたま噴出したガスを永遠の火として崇めていたかもしれません。そんなことを考えると、巨大な神殿にも見えてきました。
■アシガバット
トルクメニスタンの首都。かつてはソ連の地方都市という風貌の街並でしたが、豊かな資源で得た財力を元に、白の大理石で統一した街区に生まれ変わりました。ギネス記録や世界一が好きなお国柄らしく、世界一大きな絨毯や観覧車、星型の建築物などなど。加えて夜になると、様々な意匠を凝らした建築物がライトアップされ、中央アジアの“ラスベガス”と呼ぶ人も。この新しい町並は、それだけでも一見の価値があります。
■メルヴ
メルヴは幸いなことに、時代の移り変わりとともに町の区画も移動したため、紀元前6~4世紀の町、紀元前4~紀元後7世紀ごろ、11世紀ごろのセルジューク朝の時代と、3つの時代それぞれの遺構が残されました。古いものはすでに建物が崩れ去って山のようになっていますが、乾燥した大地に、当時の人々がシルクロードを通ってたどりついた寺院や商人宿があった思うと、違った風景が見えてきます。
しかし、このメルヴもほかの町と同様、チンギス・ハーンに破壊されました。
さて、2回目の国境越えです。スンニ派の多数のウズベキスタン、トルクメニスタンからシーア派が国教のイランへ。
※国境はおだやかで争いごとなどはありませんのでご安心下さい。
■マシュハド(イラン)
イラン入国。最初の町はマシュハド。9世紀のカリフ、イマーム・レザーの霊廟の門前町であり、シーア派の聖地として各国から巡礼者が訪れます。王朝の庇護や信者の寄進を中心に今も増築・拡張を続けているというハラメ・モタッハル広場でイランの洗礼を受けます。この町は聖地として有名な分、服装にも厳しく、広場敷地内では、女性は頭から覆うチャドル着用が必須。我々外国人には無料のレンタルがあるので心配はいりませんが、やはり着慣れない分女性は大変ですが、敬虔なイスラム信者に失礼にならない程度に、コスプレを楽しんでください。
また、マシュハドは、「世界一おいしい」というラムチョップも有名。一生に一度は訪れたい霊廟とともに、巡礼者はこのラムチョップも食していくのだとか。伊勢神宮の赤福や伊勢うどんがセットで想起されるのと同じでしょうか。
■テヘラン(イラン)
イランの首都。ここに都が置かれたのはガージャール朝(1779~1925)になってから。その中でも貴重な史跡がゴレスターン宮殿。18世紀末ガージャール朝の時代、ペルシア様式とヨーロッパ様式の折衷様式で建てられました。今も首都のど真ん中に広大な敷地を有していますが、当時はこの10倍あったといいますからペルシア王家の財力が思い知らされます。そして、イラン各地の遺跡の発掘物などを集めた「考古学博物館」も必見です。
今回のルートの歴史ある街には、どこかにチンギスハーンの影が残っています。世界にまたがる大帝国を打ち立てた「偉業」は、各地を破壊し、蹂躙した上に成立したということをまざまざと気付かされます。その後、ひとつになった世界の下では文物、人物が行き交い新しい文化が芽生えたとはいえ、歴史の歯車ひとつ動かすには、大きすぎる犠牲だったとも思います。また、その破壊から不死鳥のごとく甦る街も少なからずあったことも、このシルクロードの魅力のひとつです。それぞれの地に降り立って悠久の過去に思いを馳せてみませんか?
該当ツアー
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