添乗報告記●青蔵鉄道で行く 遙かなる聖都ラサ7日間 (2024年5月)

ツアー名: 青蔵鉄道で行く 遥かなる聖都ラサ7日間
旅行期間: 2024年5月30日(木)~6月5日(水)
文・写真: 立花誠(東京本社)

実は一番楽しみにしていたのは…

(お客様にはお伝えしていなかったけれど)実は私にとっては四半世紀ぶりのチベットでした。
観光地や街のようすが、大きく変わっているという話は聞いていましたが、実際にそれを目の当たりにする旅になります。出発直前は、初めて訪れる国・地域に出発する前と同じようなワクワク感に満たされました。一番楽しみにしていたのは…私だったかも。
今回は、シニア層のお客様が目立ちました。チベットの仏具や推しの仏様のグッズにご興味をお持ちの方が多かったと思います。
青蔵鉄道の車窓から見る景観や、ローカル色ゆたかな食事、チベット人の祈りの姿を見て、感嘆の声があがっていました。

1日目・2日目:西寧到着から青蔵鉄道乗車

初日は、羽田空港から北京経由で青蔵鉄道に乗車する西寧に夜、到着しました。

ツォンカパゆかりのタール寺

ツォンカパゆかりのタール寺


翌日は朝からチベット仏教や長さ618mの大タンカやチベット系の民族衣装を展示する博物館を観光です。観光の合間にはスーパーマーケットにも寄って、青蔵鉄道の中で食べるおやつや飲物を調達しました。ザーサイのレトルトパックや、中国の珍しいスナック、おつまみ、ドリンク、フルーツを買われた方もいらっしゃいました。

夜の西寧駅

夜、西寧駅に到着。入口でパスポートチェックを受け、保安検査を受け、階下のプラットフォームに停車中のラサ行きの青蔵鉄道に乗車しました。21:50 青蔵鉄道は西寧駅を出発。標高2200mの西寧から、徐々に高度を上げて高度順応をしながらラサに向けて走り始めました。お客様と車内を一通り探検?し、就寝。

青蔵鉄道に乗っていざ出発

3日目:青蔵鉄道から車窓観光 そしてラサ到着

朝06:30ごろ、崑崙山トンネルを抜けてココシリ自然保護区に入りました。チベット・ノロバ、チベット・カモシカ、そして一瞬でしたがオオカミを確認しました。ほか、永久凍土や清水河特大橋、風火山トンネル、ヤクの放牧のシーン等、車窓からの風景を楽しみました。

チベット・ノロバを発見!

食堂車で朝食(ゆで卵、おかゆ、野菜主体の味の濃いおかず、ソーセージ、蒸しパン?)を頂き、11時すぎに最高所タングラ峠、最高所の駅タングラ駅を車窓から望みました。

世界最高所の駅『タングラ駅』を通過。ここから1kmの地点に青蔵鉄道最高所のタングラ峠がある。

食堂車で昼食。ピリ辛のおかずが多く、ごはんが進みます。川海苔のスープは人気の一品でした。

朝食セット(これにお粥がつきます)
青蔵鉄道の食堂車のランチ。川海苔のスープがおいしい♪

15:30ごろ、ニェンチェンタンラ山塊が見えてきて、その美しい山容に歓声があがりました。

車窓からツォナ湖を望む


ニェンチェンタンラ山塊が見える。世界の屋根にいることを実感!

17:39: 定時にラサ駅到着。青海省のガイドとは駅舎の外でお別れ。ラサのガイドの出迎えを受けました。

ラサ駅の駅舎

19:30ごろ: バルコル街に近いシャンバラホテルに旅装を解きました。

部屋からライトアップされたポタラ宮が見えた!

4日目:ラサ滞在

チベットに来たら、外せないのがポタラ宮とジョカン寺。
2日間あるラサの終日滞在の初日は、午前にポタラ宮、午後にジョカン寺とバルコル街を観光しました。

ポタラ宮
チベットを象徴するポタラ宮は、ラサのマルポ・リ(赤い丘)という丘をまるごと使って建造されています。
東西の長さ360m、南北の長さ300m、高さが115mという大建造物で、荘厳な雰囲気が漂っています。
チェックポイントで旅券のチェックと保安検査を受けて、長い石段を登り、ポタラ宮の入口まで進みました。
今回のコースでいちばん頑張った場所。深呼吸をしながら一段、一段、ゆっくり歩きました。
一歩、一歩進むと、ポタラ宮そして空が、少しずつ近づいてきます。
ポタラ宮では玉座の間~ダライ・ラマの霊塔~タンカと立体曼荼羅の間ほか、ゆっくりと回りました。チベットの寺院や博物館は内部の撮影ができないので、しっかりと脳裏に焼き付けながら、観光します。

深呼吸しながら一段、一段。一歩、一歩。

ジョカン寺
バルコル街に囲まれてチベット人の聖地トゥルナン寺があります。中国名は大昭寺、一般的にはジョカン寺と呼ばれます。農繫期で巡礼者も少ない時期ですが、それでも五体投地するチベット人がたくさんいました。巡礼者や参拝者が五体投地をする場所、観世音菩薩の涙から生まれたとされる女尊ターラ菩薩の間、病を癒すご利益を齎すとされる薬師如来の間、お釈迦様の死後56億7千万年後に現れて衆生を救済する未来物・弥勒菩薩の間、チベットで最も人気がある観世音菩薩の間、西方浄土に住むという阿弥陀如来の間、ご本尊であるソンツェン・ガムポに唐から嫁いできた文成公主が持参したとされる釈尊12歳の像、吉祥天の壁画、様々な仏具やパワーグッズを売るお土産コーナーと回りました。釈尊12歳の像は、チベット統一を果たしたソンツェン・ガンポ王に嫁いできた唐の文成公主が、唐から持ってきた像で、はじめはジョカン寺の北部にあるラモチェ(小昭寺)に安置されていましたが、後にジョカン寺の御本尊となりました。

五体投地する巡礼者。チベット人の宗教観に触れられます。

バルコル街
夕刻はバルコル街を散策。買物等のフリータイムです。チベット風の建築が建ち並ぶバルコル街はほとんどが商店。仏具やチベットの日用品のお店、お土産品やチベット関連グッズのお店、カフェなど、魅力的なお店がたくさんあります。ここの散策を楽しみにしておられた方も多く、それぞれお目当てのお店を探しに行かれました。陽光が燦燦と降り注ぐバルコル街、ところどころにベンチがあり、観光スポットとしてかなり整備が進んでいました。

ショッピングの聖地バルコル街の街歩きはたのしい!

5日目:ラサ滞在

皆さんの高度順応が少し進んだこの日の朝食は、お客様の希望者を募り、近くの茶館へ。
ホテルから徒歩5分のところにある光明商店餐館というお店に入りました。
チベット伝統の麺料理“トゥクパ”と、インドのチャイのようなチベットのミクルティー“チャガモ”を堪能しました。ヤクでお出汁をとったトゥクパは、太麺でたいへんに美味。隠し味は花椒(ぜんぜん隠されてない!)だそうで、ビリっとして食欲が進みます。
チベットでお茶というとバター茶を思い浮かべる人も少なくないと思いますが、チャガモもとてもポピュラーなお茶。テーブルに一元札を置いておくと、お店の人がコップになみなみと注いでくれます。

この日の茶館は光明商店餐館。こういう茶館があちこちにあります

長テーブルを囲んでトゥクパを頂く。花椒が効いていておいしかった。コップに入っているのがチャガモ

この日はチベット人の聖地サンゲ・ドゥング、ダライ・ラマの夏の宮殿ノルブリンカ、民家、問答で有名なセラ寺を観光しました。

サンゲ・ドゥングはチベット人の聖地のひとつ。農繫期のため、巡礼者は少なかったけれど、熱心に祈りを捧げるチベットの人たちの姿も見ることができました。「すべての生きとし生けるものが幸せでありますように」
私たちもお香のような香りのする“サン”を火にくべて、旅で出会うすべての人たちの平安を祈りました。

ラサの庶民の祈りの場、サンゲ・ドゥング

ノルブリンカではダライ・ラマ七世と、十四世の宮殿を見学しました。亡命された十四世の宮殿「タクテン・ミギュル・ポタン」には世界中から贈られた調度品等を見ることができました。チベットの学生さんの卒業記念撮影が行われているのを見ることができました。

ノルブリンカで出会ったチベットの学生の卒業記念撮影

セラ寺で全身を使って行われる「仏教教義問答」

帰りはライトアップされたポタラ宮の景観を楽しみました。

映画「Seven Years In Tibet」でブラットピット演じるハインリイ・ハラー等が潜ったラサの入口の仏塔

ライトアップされたポタラ宮の景観を楽しむ

ラサからヤムドク湖へ。そして成都へ

チベット最終日、荷物を全部積み込んで、ヤムドク湖へと出発。
この日は最高地点4,794mのカンパラ峠を超えます。九十九折の山道を進むと、いくつか展望台があります。
展望台にはお土産の露店や、ヤクや西蔵犬や仔山羊と記念写真が撮れるコーナーがあります(有料)。
ヤムドク湖は気候や見る角度によってさまざまな表情を見せてくれる湖で「トルコ石の湖」という愛称でも親しまれています。
カフェで買ったコーヒーや、屋台で買ったホットドッグを手に、湖畔に繰り出したご一行。湖畔に降りたとき、その神秘的とも思える湖の姿に「静かな歓声」が周囲で聞こえました。

トルコ石の湖という愛称で親しまれているヤムドク湖

ヤムドク湖の景観を楽しんだのを最後に、空路、成都に移動して一泊。
その翌日、北京経由で帰国の途につきました。

また機会があれば、チベット添乗に同行させて頂きたいなと、旅の日々を思い返す今日この頃です。

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